大統領選は「米国版さとり世代」次第で動く! なぜ彼らは民主党リベラルを推すのか?

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ご存じのとおり、民主党候補のフロントランナーはヒラリー・クリントンですが、今年春から急速に伸び、次点につけているのがバーニー・サンダースです。

10月に米国3大テレビネットワークのひとつであるNBC( National Broadcasting Company)が行った世論調査でも、民主党候補だけで比べた場合、全年齢ではクリントン支持が45%、サンダース支持が31%でした。ところが同じ調査で19歳から29歳までのミレニアル有権者では、サンダース54%、クリントン26%と、圧倒的にサンダースを支持していることがわかりました。

一方、共和党に目を向けると少し事情が違っています。全年齢で首位を独走し続けるドナルド・トランプや、黒人で元医師のベン・カーソンなど、上位にいるほとんどの候補者がプロの政治家ではありません。特にベン・カーソンが浮上した理由はミレニアルズが支持しているからとも言われています。

ではミレニアルズはなぜクリントンではなくサンダースなのか? 日本でも騒がれているトランプについてはどう考えているのか?

その答えはそのまま、ミレニアルズの政治意識、さらに世界観につながっていくだけでなく、来年の大統領選を占う大きな鍵にもなります。

ミレニアルズの多くは「リベラル」

まず第一に押さえておかなければならない重要ポイント、それはミレニアルズの多くが「リベラル」だということです。皆さんもご存じのように米国の民主主義は「保守=共和党」対「リベラル(進歩主義)=民主党」という、対抗する2つの陣営によって構成されています。その違いをしっかり押さえておかないとこれからの論旨展開に無理が出てくるので、ここで簡単におさらいしておきましょう。

<保守とリベラルの比較>

両者の違いをとても単純に言うと、保守の共和党は小さな政府を志向するのに対し、リベラルの民主党は大きな政府を支持します。減税し、規制緩和して自由な経済活動を優遇するのが保守、逆に増税し社会保障などを充実させるのがリベラルでということになっています。しかしそれだけではなく、日本人にはあまり馴染みがないけれど米国という国を知るためにはたいへん重要な争点があるので挙げておきます。

妊娠中絶問題:キリスト教色が強く保守的な共和党は、基本、妊娠中絶には反対の立場です。これはプロ・ライフ(胎児の生命の尊厳)と呼ばれます。リベラルは逆にプロ・チョイス(母親による選択の自由の問題)という立場です。

同性婚問題:妊娠中絶と同様、キリスト教的な立場から、保守派は基本的に同性婚に反対です。リベラルはその逆。

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