「黄色い6000系電車」は、なぜ誕生したのか 西武鉄道「中の人」が明かす色へのこだわり

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100種類以上の黄色から選定された

鉄製の車体は塗装をするのが通例だったが、アルミやステンレスなど錆びにくく塗装不要の素材でできた新型車両が増えたことにより、地の銀色が主体の車両が多くなってきた。(阪急電鉄がアルミの車両にも伝統のマルーン色を全面に塗装し続けているという例外はある)

ただ、商標法の改正により色彩のみからなる商標や音商標などが登録できるようになり、京王電鉄が車体色で使用している2色の組み合わせで出願するなど、鉄道と色の関係が重要であることに変わりはない。

「黄色い6000系」は運行延長も

6000系以降の電車は、その時代に合わせたコンセプトに沿って黄色以外の配色が施されてきた。そうした時代の流れの中で黄色い電車は走り続ける。1編成10両の片側面は約520平方メートル(9000系の場合)。日常生活においてこれほど大きくて黄色い立体物は、まず見当たらないだろう。

「黄色い6000系電車」とは、黄色い電車を残すことが目的ではない。一人ひとりの記憶にある黄色い電車と、それに紐づく思い出を想起していただくことが目的である。こうしたアプローチも、人や街を豊かにする手段の一つではないだろうか。

なお、「黄色い6000系電車」は、当初2016年3月までの予定としていた。が、12月下旬より筆者の担当である車内ドア上の映像広告”Smileビジョン”のモニター設置など改造工事のため約2カ月間営業運転から外れる予定だ。ただ、ラッピングを外しにくい寒い時期を避ける意味も含め、運行期間の延長を検討している。
 

手老 善 西武鉄道 沿線事業企画部広告担当

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てろう ぜん

1982年生まれ。2005年に東急バスに入社。その後ジェイアール東日本企画などを経て、2015年に西武鉄道に入社。デジタルサイネージに関する業務を中心に、DVD「車両基地」シリーズの監修や、テレビ朝日「タモリ倶楽部」ラジオ日本「斉藤雪乃のイチバンセン!」などに出演するなど、活動は多岐にわたる。

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