野田、谷垣両氏は「得失点五分五分」

野田、谷垣両氏は「得失点五分五分」

塩田潮

 3党合意後、民主、自民両党は「疑似大連立」の関係だが、振り返ると、両党とも得失点、五分五分と映る。

 野田首相は消費税増税法案の衆議院可決、民自連携による衆参ねじれ克服を果たすとともに、早期解散なしで自民党抱き込みに成功し、得点を上げたが、民主党分裂を招いた。谷垣自民党総裁は「3党合意応諾で民主党分裂」という戦略で臨み、狙いどおりの展開で得点を稼いだが、「抱き合わせの話し合い解散」には失敗した。

 両党首とも9月に党首選挙が控える。野田首相は異分子追い出しで代表再選確実という形をつくり出した。首相は増税法案成立、代表再選・続投、来年度予算編成とこなして、早くて来年の1月解散・2月総選挙、できれば来夏の衆参同日選に持ち込み、最短でもそこまで、あわよくば2年超の政権を、という野望の絵を描き始めているふしがある。

 「決められない政治」を打破し、政権基盤は強化されたと自信を深めているのかもしれない。だが、実質的最高権力を自民党に握られ、丸呑みしなければ、政権運営がままならないというのが実態で、政権の弱体化どころか、民主党政権は崩壊の危機と見る人は多い。

 一方の谷垣総裁は、在任2年11カ月で参院選勝利と鳩山、菅の両内閣打倒という実績を誇りながら、総裁再選の見通しが立たない。

 一点突破で、いまも早期の解散・総選挙を狙っている可能性がある。武器は衆議院での内閣不信任案で、計算上では民主党内で15人が同調すれば成立する。その場合、野田首相は内閣総辞職ではなく、解散・総選挙を選択するはずだから、不信任案を使って早期解散に追い込むことができる。

 だが、大きな壁が立ちはだかる。「1票の格差」問題だ。

 総選挙の前に選挙制度改革法案を成立させ、周知期間を経た上でなければ、実際上、選挙ができない。できない段階で不信任案が成立すれば、総辞職しか道がないから、首相を辞任に追い込めると考える人もいる。反対に選挙制度法案が成立しないうちは不信任案の可決は不可能、という前提に立ち、選挙制度法案の成立を遅らせながら解散・総選挙の時期を先延ばしにするという方法もある。

 「したたかなドジョウ首相」はこの手で衆参同日選に持ち込む算段なのか。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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