【産業天気図・医薬品】厳しい薬価改定が予想され、大型新薬の特許切れも近づく。再編の予感

医薬品業界の2007年後半は薬価引き下げ前で「晴れ」だが、08年度の薬価引き下げ後は「雨」。さらに、この雨は新薬メーカーにとって当分やみそうもない。
 財政健全化を目指すため、政府としては、08年度予算においても社会保障費は予想される伸び7500億円のうち2200億円を圧縮する必要がある。うち約半分は、政府管掌健康保険に対する国庫負担の一部を健康保険組合や共済組合に肩代わりさせて削減し、残りは薬価引き下げやジェネリック(後発)医薬品の使用促進で削減する、というのが大方針だ。その結果、薬価引き下げ幅は相応のものとなり、06年4月の引き下げ時同様、新薬メーカーの国内利益を圧迫することはまちがいない。
 新薬メーカーにとっては、ジェネリック(後発)医薬品の存在も今後脅威になりうる。政府のジェネリック使用促進策はあの手この手で行われており、08年4月からはジェネリックに有利な形で処方箋が再改定されるほか、調剤薬局にジェネリックの在庫をきちんと持つように勧奨する方向へ政策誘導を行うことも検討されている。こうした施策が本当に財政面での効果を示すようになれば 新薬の乏しい名ばかりの“新薬(後発医薬品を扱わない)メーカー”は非常に厳しい状況に追い込まれる。
 武田薬品工業<4502>、第一三共<4568>、アステラス製薬<4503>の国内3強をはじめとする上位大手は海外売上高比率が高く、こうした国内リスクは海外の伸びで吸収できる。しかし、現在、彼らの稼ぎ頭である主力品は90年代に世に出たものが多く、これらは2011年末までに次々と特許失効を迎える。まずいことに、海外では失効後急速にジェネリックへとって変わられる傾向が強い。失効前の売上高が大きいほど反落も大きくなる仕組みだ。海外事業の持続的成長は、なんら保証されていない。
 さらに今年秋は、武田薬品工業とエーザイ<4523>で開発中の次世代大型新薬のスケジュール遅延が表面化した。医薬品が宿命的に背負ったリスク--開発遅延、開発中断、そして副作用問題--は、高成長時代にはかすり傷で済んでも、低薬価と「ジェネリック・リスク」に包囲されたなかでは命取りになりかねない。
 企業体力増強を狙った新たな再編劇の引き金は、いつ引かれてもおかしくなさそうだ。
 一方、沢井製薬<4555>や東和薬品<4553>といったジェネリック専業メーカーも安穏とはしていられない。厚労省はジェネリック医薬品に対しては、「アメ」と共にしっかり「ムチ」も用意したからだ。品質確保、迅速配送、在庫確保、規格充実といった「安心促進アクションプログラム」の達成を要求。業界関係者からは「新薬レベル並みの中身。専業メーカーで達成できるのは一握りではないか」という声も漏れる。ジェネリック業界でも企業規模拡大に向けた再編は起きるだろう。また、ジェネリック事業に手を出している明治製菓<2202>、キョーリン<4569>、日本ケミファ<4539>などの一部新薬メーカーにとっては、同アクションプログラムが専業メーカーに追いつき追い越すまたとないチャンスになる可能性もある。
【高橋 由里記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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