意外に知らない都心に残る「江戸の史跡」10選 赤穂浪士討ち入りの日に「江戸」を考える

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3.芝東照宮(港区)

芝公園内の目立たない一角のため、油断すると見過ごしてしまいそうだ。東照宮とは家康を祀った神社で全国各地にあるが、ここは「日光東照宮東京事務所」。家康没後400年記念として、日光東照宮の「御朱印帳」を特別に1500円で買える。

御朱印とは神社仏閣を実際に訪れた証であり、信心深い人々にとっては非常に大切なものだ。「東京観光のついでに日光にも行ってきた」と地元で誇りたい人にとっては、ありがたいサービスだ。

4.日本橋(中央区)

日本橋を覆っている首都高

江戸幕府が開かれた1603年、5つの街道(東海道、中山道、奥州街道、日光街道、甲州街道)の起点として架けられた橋。1911年に現在の石橋となった。関東大震災や東京大空襲の焼け跡も残る。

しかし、現在は1964年の東京五輪を前に整備された首都高速道路に覆われている。高度成長が景観を台無しにした典型例だ。橋のたもとの観光船乗り場近くには高速撤去運動の署名コーナーがある。

5.春日局の墓(麟祥院、文京区)

春日局は明智光秀の重臣の娘。幕府開設の翌1604年に家光の乳母となり、家光の三代将軍就任や大奥制度の確立に尽力した。家光が25歳の時に患った疱瘡を治してくれたら生涯、一切の薬を服用しないと家康の墓前に誓い、家光の完治後は65歳で死ぬまで約束を守ったという。

墓石には四方から丸い穴が空いている。し烈な生涯を経て世間の虚しさを悟りこんな形にしたようにも思えるが、実は死後も正道を正すためだという。こうした強烈な意思が家光に乗り移り幕藩体制が確立したのだろう。

冬場に合格祈願の参拝者が殺到する湯島天神からは徒歩数分で、東京大学のキャンパスにも近い。ただし、土日は閉まっている。

遊びごころを映す記念碑

6.銭形平次の碑(神田明神、千代田区)

神田明神は朱色の本殿が美しい神社。もともとは平将門を祀っていたが、江戸城から鬼門に当たる北東の位置にあることもあり、江戸総鎮守とされた。神社の脇には、野村胡堂の小説の主人公「銭形平次」の碑がある。

1970年に作家と出版社の有志が、平次が住んでいたとされる「明神下」を見下ろす場所に建立した。台座は彼の武器とされる寛永通宝をかたどっているほか、脇には子分の八五郎の小さな碑もある。

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