ダンロップ、米ゴルフメーカー買収の大誤算 「スリクソン」ブランドも通じず、初の赤字

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一方、ゴルフ大国である北米では、キャロウェイやテーラーメイド、ピンなど、有名メーカーが幅を効かせているのが現実だ。ゴルフクラブは値引き販売されるのが普通で、マーケットは安売り合戦の様相を呈している。クリーブランドゴルフは他メーカーに押され、ドライバーやアイアンの市場シェアを、少しずつ落としていた。

今年1月の社長交代会見。右が3月就任した新社長の木滑和生氏、左が前社長の野尻恭氏

そこで、アジア圏のみで販売されていたスリクソンを、2014年秋から北米や欧州にも投入。これに伴ってクリーブランドゴルフは、ブランドの強みであるショートゲーム用のウエッジだけに絞り、アイアンやドライバーなど他のクラブは、スリクソン・ブランドで展開していくことにした。

ところが、この戦略が裏目に出た。地場のメーカーだったクリーブランドゴルフに比べ、スリクソン・ブランドは、海外で圧倒的に知名度がない。「安売り合戦には参加しない」という方針も、ブランド浸透の遅れにつながったのだ。

北米でのシェアがジワジワと低下

クリーブランドゴルフからスリクソンへのブランド切り替えがうまくいかず、ダンロップの北米におけるゴルフシェアは、2013年に3.8%、2014年に3.3%、2015年上期に2.8%へと、ジワジワ下がっている。最大市場である北米でのゴルフクラブ販売不振が響き、第3四半期決算では、営業赤字1億円、最終赤字7億円まで、事態が悪化していた。

このような状況を鑑みてダンロップは、北米ビジネスを担う子会社ののれんを一括償却することを決めた。償却は来期にすることもできたが、「今後、海外はスリクソンでやっていくという意思表示」(同社)だという。

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