「前面展望列車」は鉄道少年「最高の憧れ」 「運転士気分」を体験!ルーツはあの国に

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●JR九州「あそぼーい!」

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JR九州の前面展望列車。登場時から何度も改造され、今は「あそぼーい!」として走っている

平成23(2011)年6月から、豊肥本線の熊本-阿蘇-宮地間を走り始めた観光特急「あそぼーい!」は、非電化区間も走れるようにキハ183系1000番台気動車による展望列車。

昭和63(1988)年に「オランダ村特急」として登場してからこれまでに5回の改造を繰り返し、以前走っていたSL列車「SLあそBOY」の名称を踏襲した「あそぼーい!」として運行されている。写真は「ゆふDX」として走っていた時代の姿。

名車は「7人の美女」

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ドーム型の屋根が美しいミラノ中央駅に停車する「セッテベロ」。イタリアが生んだ名車だ

名鉄パノラマカーや小田急ロマンスカーの展望車が誕生する約10年前の1952年に、イタリア国鉄から斬新なスタイルの展望列車がデビューしていた。

その名は「セッテベロ(Settebello)号」。最前部と後部は運転席を二階に持っていき、一階部分は豪華な1等展望室、列車はすべてファーストクラスで、フルコースが楽しめるレストランカ―も設けられ、TEE・ヨーロッパ国際列車として君臨し全世界に話題となった。

この、前に突き出た丸みを帯びたボンネットタイプは、名鉄パノラマカー、小田急ロマンスカーなどのスタイルを決定づけたほか、国鉄のボンネット形ディーゼル特急キハ81形や「こだま形」特急電車のスタイルにも大きく影響を与えている、イタリアが生んだ名車だった。

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セッテベロの運転席に座る筆者

全7両編成のセッテベロは「七つの美しいモノ」という意味で、私はイタリアの美女になぞらえて「セッテベロ=7人の美女」とメディアに紹介した。今はこれが独り歩きしている。

筆者は過去3回、セッテベロの同乗取材をしており、1979年には5分間「衝撃」の運転体験をして180km/h走行を体験した。展望車は鉄道愛好者、旅行者にとっても懐かしくも印象に残る列車だった。
 

南 正時 鉄道写真家

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みなみ・まさとき / Masatoki Minami

1946年福井県生まれ。アニメーターの大塚康生氏の影響を受けて、蒸気機関車の撮影に魅了され、鉄道を撮り続ける。71年に独立。新聞や鉄道・旅行雑誌にて撮影・執筆を行う。

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