ワタミ過労自殺、高額和解で渡邉氏も謝った 1.3億円は「懲罰的慰謝料」と逸失利益

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2012年、森美菜さんの両親は、ワタミ本社に協議を申し入れた(撮影:梅谷秀司)

提訴から丸2年。居酒屋「和民」で働いていた娘を過労による自殺で失った遺族が、ワタミや創業者である渡邉美樹・参議院議員などに損害賠償を求めていた裁判が12月8日、東京地裁で”和解”という形で決着した。

今回の和解内容には、2つ、特筆すべき点がある。

1つ目は、日本では前例がなかった、「懲罰的(制裁的)慰謝料」が認められた点だ。通常、独身者が過労死した場合、慰謝料は2000万~2500万円が一般的とされる。だが、今回は、倍の4000万円となった。

労働環境の改善などを促すため、ワタミへの懲罰として慰謝料が上乗せされた結果だ。これに逸失利益7559万円などを加えた、計1億3365万円が損害賠償金として支払われることになる。

過重労働の再発防止策も策定

再発防止策でワタミの労働環境は本当に変わるのか(撮影:今井康一)

2つ目は、付帯事項として、過重労働再発防止策が盛り込まれたことだ。和解協議の中で、2015年6月ごろには、会社側が法的責任を認めていた。原告側は、そこから半年をかけて、再発防止策についても策定を求めることにした。

内容は実労働時間の正確な記録。36(さぶろく)協定の定めに従い、上限時間を超えて働くことを防止すること、労働基準監督署から是正勧告があった場合はただちにコンプライアンス委員会に報告すること、などが含まれている。

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