カルティエは、なぜ輝きを失っているのか 中国の減速など課題山積

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スイスの腕時計業界団体Uniaの幹部Pierluigi Fedele氏は「輸出の落ち込みはわずかで、通年ではなお200億スイスフランを超える」として、スイス腕時計産業が実際に危機に見舞われているわけではないとの見方を示した。ただアジア市場の減速で影響を受けている企業があり、一部が人員を削減したとも述べた。

アナリストの中からは、中国本土の高級腕時計市場は2012年の最盛期から60%落ち込んでいるとの推計も聞かれる。

これは中国政府が贈答の取り締まりを強化したり、マカオのカジノ業界が汚職摘発で打撃を受けたのが一因。先月パリで発生した同時多発攻撃の影響で、高級ブランドを買うために欧州を訪れる旅行者はさらに減る見通しだ。

カルティエは特に課題が大きい

しかしカルティエは同業他社に比べて特に課題が大きい。

エクサーヌBNPパリバのアナリストLuca Solca氏によると、カルティエは特に中国市場への依存度が高い。またこの数年は技術革新を強力に推し進めていなかったという。

カルティエの新型腕時計は、最高級モデルに焦点を当てた既存の技術を土台としている。1月には8年ぶりに新型モデル「クレ」を発表したが、これまでのところ手に入るのは価格が1万ユーロを超えるゴールドモデルに限られる。

リシュモンに近い筋によると、「クレ」は発売以来の購入者のおよそ9割が女性だという。

リシュモンは自社製ムーブメントの導入でも出遅れた。スウォッチが外部へのムーブメント供給を打ち切った後、各社はムーブメントの自社生産を迫られ、自社製ムーブメントは高級腕時計の分野ではブランド力の重要な一部を成している。

オリエンタル・ウォッチのラム氏によると、カルティエは中国本土市場で大衆向けの市場を目標に据え、香港の消費者が求める最良の技術設計への関心が薄かった。

さらにマーケティングの面でもカルティエは目新しい取り組みに乏しい。オメガは五輪の協賛で社名を売り込み、映画「007」の新作とタイアップをはかった。またロレックスはスポーツタイプという新たな分野を開拓している。しかしカルティエはパンサーなど従来のデザインにこだわっている。

LVMHジャパンの社長からカルティエのCEOに就任するビニュロン氏は、カルティエを再び成長軌道に戻すのに適任だ。ロンドンのカルティエの従業員は「ビニュロン氏は型にとらわれない人物として知られている。多くの人が期待を寄せている」と話した。

(Silke Koltrowitz and Donny Kwok記者)

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