「戦争」で読む日米関係100年 日露戦争から対テロ戦争まで 簑原俊洋編 ~為政者レベルの知見をコンパクトにまとめる

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「戦争を巡るアメリカ国内政治をしっかり理解できないとすると、アメリカの直面する危機に際して日本はその対応を見間違えてしまい、的確な施策を選択することができない」。情緒的な議論ではなく、冷静な分析が必要な所以(ゆえん)である。

では本書は、そうした問いに十分に答え切れているだろうか。極めてコンパクトに日米関係の歴史を整理している点は高く評価できる。が、章によって議論に濃淡があること、また政府・為政者レベルの議論にほぼ終始し、両国の国民目線の議論が希薄なのは残念である。

みのはら・としひろ
神戸大学大学院法学研究科教授。1971年生まれ。米カリフォルニア大学デイビス校卒業。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員を経て、99年神戸大学法学部助教授、2007年より現職。

朝日選書 1680円 293ページ

  

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