リンカーン弁護士(The Lincoln Lawyer)--法律は映画の味方か《宿輪純一のシネマ経済学》

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膨大な法律案件の中でも、知的財産、特に著作権の問題は、映画では避けて通れない。映画館で映画を見ると必ず、盗撮やインターネット等の「海賊版(パイラシー)防止」のCMが流れる。DVDでもそのようなテロップが流れる。しつこいようであるが、常識が失われつつある日本では、あのようにしつこく流すことが社会的な問題の解決には必要不可欠と考える。

米国では1998年に著作権期間が、著作者の場合は50年から70年に、法人著作の場合は75年から95年に、それぞれ20年延長された。一説には28年に発表された「ミッキーマウス」(法人著作)の著作権切れが迫っており、ウォルト・ディズニーのロビー活動があったともいわれている。ちなみに「ミッキーマウス」などは商標として保護されており、たとえ著作権が切れたとしても、商標としては保護されているので勝手に使用してよいわけではない。

『ローマの休日』(53年)などの古い名作が、書店などで500円以下の廉価で売られていることがあるが、それは、日本では、2004年の著作権法改正以前は、映画の著作権が公表後50年だったことを活用しているためである。しかし、最近は廉価シリーズが増えている気がしないが、新たな作品の販売は困難となっているのかもしれない。

日本でも、常識度の低下ととも著作権をはじめとした知的財産権の問題が発生している。大変残念に思っている。


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7/14(土)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

しゅくわ・じゅんいち
博士(経済学)・映画評論家・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングス他に勤務。非常勤講師として、東京大学大学院(3年)、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学(5年)等で教鞭。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa ※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。

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