TPPは、消費者にとって「最高にいいもの」だ TKO木本が、また「かしこ」になった

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松本大(まつもと おおき)/1963年埼玉県生まれ。東京大学法学部卒業後、ソロモンブラザーズに入社、ゴールドマン・サックスに転職後、最年少でパートナー(共同経営者)になる。1999年マネックス証券を設立。現在、マネックス証券およびマネックスグループのCEOを勤める。株式投資や、日本の未来への提言など著書多数

松本:太平洋沿岸の国々が貿易をするのに条件を同じにしましょう、という話。この新しい貿易圏は全世界のGDPの40%を占めるといわれています。つまり世界の半分近くの経済規模になる。「サービスとか物品の貿易ルールはこうしようよ」というものが、世界の40%のところで決められると、すごい発言力になります。そこでいちばん影響が大きいのは中国。中国は巨大な国なので、放っておくと彼らがこう貿易したい、輸出したい、輸入したい、というルールで引っ張っていってしまう。けれども日本がアメリカと一緒になり、周辺の国も巻き込んで貿易のルールを決めた。さすがの中国もそれを無視することはできないわけです。日本にとってはとてもいいことだと思います。

木本:メイドインジャパンとよくいいますが、日本には高品質のモノって多いじゃないですか。そういうモノがより世界に広がっていきやすくもなるんですか。

松本:うーん。そこは簡単にはいかないところです。

消費者は安く買えるメリットが多い

木本:たとえばコシヒカリとか? お米がおいしいですよね。こういうものが今まで以上に広がるのでは?

松本:競争力のあるものはよく売れると思うんです。一方で競争力のないものは、そんなに売れなくなるわけです。「どの国でも同じルールで貿易しようね」になると、今まではあるモノは「日本のこの産業は弱いから輸出してこないで」って拒否できたのが、みんな同じルールでやるとなると、そうも言っていられない。そこで何が起きるかというと、二つのことが起きます。

木本:なるほど。一つ目は?

松本:日本の消費者からすると、日本で競争力のないものを無理やり高く買うのではなくて、世界の中で競争力のあるモノをいい条件で安く買えるようになる、というメリット。

木本:それはうれしいことですね。もう一つのメリットは?

松本:日本国内では、世界的に見て競争力のないものは、もっと競争力つけていこうと。日本が得意な競争力がある分野に生産を移していくとか。あるいは競争力のない会社が「このままではTPPの中で勝てない」ので、改革をして競争力をつけるとか。TPPがあるがゆえに、日本の中でいろいろなイノベーションとか競争力の回復も起きると思うんです。それで、いろいろな産業が競争力を増大することになるので、これもメリットです。

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