イギリスの金融スキャンダル、中央銀行にも飛び火

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 エリザベス女王即位60周年やオリンピックの準備に華やぐロンドンで、LIBOR(ライボ)不正操作事件が世間を騒がせている。

LIBORはLondon Inter−Bank Offered Rateの略でロンドン銀行間取引金利。金融センターであるシティで16の有力銀行がBBA(英国銀行協会)に自行が調達可能な短期金利を報告、上下四つずつをカットした平均が短期金利の指標として公表される。しかし、実態とは異なる報告が行われていた。

この指標は債券や住宅ローンなど金融商品で変動金利型のものの値付けにおいて広く用いられており、米国や日本でも参照されている。つまり、こうした金融商品の値付け全般が歪められたのではないか、と問題視されている。

金融関係者の間では数年前からLIBORの値付けがおかしい、とささやかれていた。

事の発端は2008年9月の米リーマン・ブラザーズの破綻。大きすぎて潰せない(too big to fail)という神話が崩れ、金融市場はパニックに陥った。大手金融機関は第2のリーマンが出るのでは、と疑心暗鬼になり、相互に資金を融通しなくなり、金利はハネ上がったが、お互いに、自行の調達難は隠したい。そこで、低めの数字を報告したというわけだ。

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