郡山市のずさんな放射能汚染土砂処分の実態 子どもが遊ぶ公園にひそかに埋設

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加えて問題なのは、不適切な除染作業であっても、国の補助金が県を通じて市町村に交付される仕組みが維持されていることだ。川田龍平参議院議員(みんなの党)の質問趣意書への環境省の回答によれば、福島県の補助事業として市町村単位で実施されている線量低減化活動支援事業に関し、11年度に国が県に交付した補助金額は約180億円に上る。県は基金を設けたうえで市町村に配っている。ずさんな管理を見逃している責任の一端は環境省にもある。

郡山市の対応については市議会でも疑問の声が出た。滝田春奈市議は「汚染土砂を埋めた事実を示す表示がいまだにないのはなぜか」と6月20日の定例議会で質問したが、「地域内で保管する場合は『現場保管』に該当する(ので表示する必要はない)」(鈴木茂清・原子力災害対策直轄室室長)などと市側は答弁している。

東洋経済記者に前出の本田・郡山市原子力災害対策直轄室防災計画推進担当は、「公園内に囲いや表示をすると利用に支障が生じかねない」として、住民への周知については否定的な姿勢を貫く。

さらに驚くべきことに、前出の椎根・公園緑地課係長によれば、「住民が持ってきたもの(=土砂や汚泥)をうち(=公園緑地課が管理する公園)で埋めただけ。埋設許可というものは特に存在しない。持ち込んだ土砂に放射性物質がどれだけ含まれているかはわかりかねる」などと言い、責任の所在があいまいになっている。

環境省のガイドラインには「自宅や学校等の敷地で行われる現場保管等については、囲いや掲示板について特段の措置は不要です」との記述があるが、「等」が何を意味するかについては一切の記述がない。

 その「等」が拡大解釈されて「車で数分」までの広範囲の除染土砂の扱いが現場保管でよいとされたことにより、郡山市ではずさんな管理がまかり通っている。そして、公園やスポーツ広場では埋設の事実を知らぬ子どもが走り回っている。
(岡田広行 =東洋経済オンライン)

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