顧客との絆づくり型O2Oで世界にも挑戦する無印良品(前編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》

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奥谷氏は次のように説明する。

「私は、顧客時間を『お客様の時間』と言葉どおりにとらえた。無印良品の認知度は比較的高い。誰でも1つくらい無印良品の商品を家に持っているだろう。ただ、洋服を思い浮かべる人もいれば、生活雑貨や食品を思い浮かべる人もいる。ブランド認識はばらばら。商品範囲が広いという強みを生かし、それぞれのお客様の生活時間に少しずつ入り込んでいる。そうした弊社の商品を活用しながら、お客様の時間にかかわれないだろうかと思った」


■奥谷孝司氏

従来の小売業は、顧客が商品を「買う瞬間」ばかりを重要視していた。つまり、売り上げがすべて。奥谷氏は、それを「20世紀型の考え」だと見る。購買する瞬間だけではなく、「買う前」「買った後」の時間も含めてとらえることが大事だという。

まず、顧客に無印良品というブランドを体験してコンセプトに共感してもらい、商品に興味を持ってもらう。興味を持った商品を検討し、実際に店舗で買い物に行ってもらう。その後は商品をどう使ってもらうのか。そういった個々の顧客が無印良品とかかわる一連の時間全体で考え、顧客と絆づくりができないか、検討している。

そのためには、個々の顧客分析が必要不可欠となる。無印良品では、リアル店舗をベースとした会員登録制度がないため、ネットストアの会員情報を基に顧客分析をする。

「6:4の法則」を発見

「個のデータをとる。いつ誰が何を買ったのかを把握することが重要。30代女性でお子さんのものを頻繁に買う人、といったように。その流れでソーシャルメディアの時代もきた。お客さんがどんな生活をしているのかがわかる。購入前に無印良品のことをもっと知ってもらえればお店に来てもらえるかもしれない。商品紹介を見て買ってくれるかもしれない」と奥谷氏は語る。

奥谷氏はネット会員の傾向を分析。「6:4の法則」というO2O施策の重大な手掛かりを見つけた。

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