原発事故被災の住民組織が賠償基準改善を目指し連携、「原発事故被災者相双の会」発足

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同じく会合に参加した南相馬市小高区で家具製造業を営んできた板倉好幸さん(59)は、避難先の福島県喜多方市内でかつて民宿に使用していた家屋を借り上げて8月に工場を再開する。妻のよし子さん(54)からは「もうすぐ60歳になるのだから無理しないでほしい」と反対されたが、「人生の最後を飾りたい」と決意は揺るがなかった。
 
 「操業再開に全力を傾けてきたので、小高区に残した工場の賠償請求をするいとまもなかった」と板倉さんは話す。


■板倉好幸さん

 板倉さんは老後のための貯金の一部を取り崩して操業再開に踏み切る。これまで東京の大手企業のビルの内装を数多く手掛けた腕前を持つ板倉さんは、何もせずに時を費やす生活に我慢ができなかったという。「会津地方特産の漆を活用した特徴のある家具作りに力を注ぎたい」と板倉さんは意気込みを語る。

相馬野馬追いに25年の参加経験を持つ板倉さんは、郷里への愛着が人一倍強い。今年も参加のための準備に余念がない。7月末の野馬追い開催を前に、南相馬市との行き来を続ける毎日だ。

原発事故で避難を余儀なくされた住民は十数万人にのぼる。その住民の多くが先の見えない苦しみとの格闘を続けながら、生活再建の道を模索している。

※「原発事故被災者相双の会」の連絡先は國分富夫氏、090−2364−3613


「生活はどん底にある」と訴える鈴木宏孝・会津地方なみえ会会長


参加者は約150人にのぼった


「団結がんばろう」を斉唱して閉幕

(岡田広行 =東洋経済オンライン)

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