JFEスチールがステンレス鋼の製造工程でレアメタル使用量を抑制しエネルギー効率を向上させる技術を開発

JFEスチールがステンレス鋼の製造工程でレアメタル使用量を抑制しエネルギー効率を向上させる技術を開発

JFEホールディングス傘下で国内2位の高炉メーカーであるJFEスチールは7月2日、ステンレス鋼の原料である金属クロム(Cr)を、クロム鉱石(Cr2O3)から効率よく回収することで、レアメタルの使用量を抑制できる技術を確立したと発表した。東日本製鉄所(千葉地区)のクロム鉱石還元炉において、新たに開発・設置したバーナー加熱添加装置が、技術のキモだ。従来の方法に比べてエネルギー効率が約20%向上、二酸化炭素(CO2)排出量も1割削減できるという。

自動車の排気系部品などでの使用頻度が高いステンレス鋼の原料は、一般的にレアメタルであるフェロニッケルやフェロクロムを使用するが、JFEスチールのステンレス鋼は、ニッケルを使わない。

フェロクロムは一部で原料として使っているが、代替としてステンレススクラップや金属クロムも用いることで、レアメタルの使用量を抑制している。このうち金属クロムは、クロム鉱石還元炉でクロム鉱石自体を炭材(コークス、石炭)で還元してつくる。

こうした措置により、JFEスチールは高価なフェロニッケルはもちろん、フェロクロムの使用も抑え、レアメタルとして国家備蓄物質となっているフェロクロム高騰時には、他の原料比率を高めることでコストを抑えることも可能となっている。

このクロム鉱石還元炉で、炭材を使用しないで金属クロムを取り出すのが、バーナー加熱添加装置。炭化水素ガスを燃料とする純酸素バーナーで約2800℃の高温火炎を炉内に添加することで、クロム鉱石粒子が高速で加熱され、高効率で金属クロムを取り出すことができる。

クロム鉱石の還元に使用する熱源としての炭材を減らすことで、CO2排出量も1割削減するなど環境負荷低減も可能となる。設備自体は2010年8月に設置しており、稼働が始まっていたが、特許の取得を済ませ、本格稼働したことから、今回の発表となった。

JFEでは、今2013年3月期1200億円のコスト削減を計画。その中身として期待されるのが、上工程の生産性向上。低品位原料の使用などがカギとなるが、今回の発表も上工程での技術革新の一つ。たびたび価格高騰を引き起こすフェロニッケルやコークス価格に振り回されない操業体制の構築に向け、新規技術の開発を進める構えだ。

(写真はJFEのステンレス鋼材、価格競争力のあるクロム系に強みがある)

(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)

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