マツダが目指す自動運転は人間を高みに導く

機械と人間はどうやって意思疎通できるのか

自動運転の実現に向けて、HMIの研究は欠かせない
航空機分野ではオートパイロットとして操縦の自動化が進んでいるが、車の場合はどのような技術が自動化を推進するキーになるのだろうか。自動運転車が社会に受け入れられるためには人と車の接点である「HMI(Human Machine Interface/Interaction)」の研究が欠かせない。12月4日配信の「ボーイングとエアバスに見る自動運転の現実」に続いて、HMIの専門家である筑波大学副学長の稲垣敏之氏に展望を聞いた。

清水 和夫(以下、清水):いずれ訪れる自動運転社会において、HMIが重要なテーマであることは自動車メーカー各社も認めているところです。自動運転とHMIについて、もう少し詳しく教えてください。

自動運転におけるHMIの役割

稲垣 敏之(以下、稲垣):レベル2の自動運転の場合を考えてみましょう。レベル2は人間が手足を使わず、機械制御で走行している状態ですが、人間には機械が正しく運転しているかどうかを監視する義務があります。その状態でドライブをしているときに、隣のレーンにいる車が、自車と先行車との間に入ろうとしていることに気づいたとします。

自車が少し速度を緩めて、先行車との車間を広げれば、その車が安全に入ってこられそう。普段自分がそうするように、自動運転システムも減速して入れてあげるだろうと思っていたら、なんと加速した先行車に合わせて自車も加速。予想外の動きにびっくりした……。このように人間の期待と違う挙動を取ったために、機械が人間をびっくりさせる現象をオートメーション・サプライズと言います。

原因は人間が機械の意図をわからないこと。先ほどのケースで言えば、人間はシステムも横から入ろうとしている車が“見えている”と思い込んでいますが、センサーのレンジに入っていないものは検知できません。つまり、システムはその車の存在に気づけないので、先行車の加速に合わせて加速したという判断は正しいことになります。

しかし、人間がコンピュータの見ている世界を知ることができれば、横から入ろうとしている車に気づいていないことがわかりますから、人間が機械を助けることができます。いったん自動運転モードを解除して、その車を入れてあげてから、また自動走行に戻せばいいワケです。このような助け合いを実現するためには、機械の見ている世界が人間にわかりやすく提示されている必要があります。

清水:その情報がないと何もできません。野球で言えば、一塁と二塁の間に球が飛んできたのに、一塁手も二塁手も動けずヒットを許してしまうようなことが起こりますよね。

稲垣:「僕が取るから大丈夫」あるいは「君に任せた」と言ってくれればいいのに、声掛けがないと「なんだ、取らないなら『取らない』と言ってくれよ」などということになってしまいます。

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