ミドリムシジェット燃料、実用化へ動き出す ユーグレナが30億円で実証プラント建設

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実証プラントで採用した製造技術、バイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術は、米国の石油メジャー、シェブロンから導入することを2015年2月に発表済みだ。シェブロンの技術を日本の法規制に合うようにローカライズして設計施工をするのが千代田化工というわけだ。

夢のバイオ原料、ミドリムシ

ミドリムシは、いわゆる虫ではない。藻の仲間で、コンブやワカメとよく比較される。

59種類の栄養素を含む栄養価の高い食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪とバランスもいい。ユーグレナの出雲社長自身、栄養不良のバングラディシュの子どもたちを救いたい、という思いからミドリムシの研究を始めており、現在も、ユーグレナの収益の大半は食品だ。パラミロンをはじめとする医薬品候補になり得る物質も含有する。さらに油脂にとみ、植物燃料としての呼び声も高い。

石垣島で食用と燃料用に大量培養中

1990年代には夢のバイオ原料としての注目を集めた。ところが、単細胞というごく原始的な生命体にもかかわらず培養が難しく、出雲社長のグループが表れるまで、世界で誰も成功したことがなかったという、いわく付きの生物なのだ。

石垣島で食用と燃料用のミドリムシの大量培養を行っているが、現時点では「食用の増産は10億円程度」(出雲社長)を計画しているものの、燃料用の増産計画はない。全日空の使用計画にもよるが、当面は100%ではなく、現在の燃料ケロシンに10%程度混ぜる予定だという。

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