西海岸帰りのIT経営者が「食堂」に挑むワケ 食には無限の可能性が眠っている!

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温かくなった漬物、おひたしなど、嫌だなと思ったことはありませんか?

ボクも試食させてもらいましたが、健康的なのはもちろん、とてもおいしかったです。社長の食材へのコダワリを聞いていたせいか、味に深みも感じました。

うれしいのは、温惣菜と冷惣菜がセパレートスタイルでパックされていること。温かいおかずは温かく、サラダ・フルーツ・おひたしなど、冷たいものは冷たく食べられる工夫がなされています。

このセパレート方式、意外とありそうでありません。なんだか、自宅の食卓で食べているようです。当社のパンフに載っているマンガが、その感じをよく表わしています。

従来の社員食堂は、広い厨房面積が必要で、設備投資も2000万~3000万が一般的です。さらにスタッフとして、シェフ1人、調理補助2人、栄養士の配置も求められます。したがって、実際に導入できるのは大企業に限られていたのが現実でした。

しかし同社のこのシステムなら、厨房面積は畳一枚分程度、設備費は基本的に0円です。スタッフも不要で、栄養バランスは専属の栄養管理士・医師が監修してくれます。中小企業には福音と言うべき、新しい形の社員食堂だと思いました。すでに100社以上の導入実績があり、さらに増え続けているそうです。

昨今は、大企業といえども、経費削減の中で社員食堂を閉鎖しているところが多いと聞きます。今後、規模の大小を問わず、この「出前社員食堂」が健康経営のトレンドとなるかもしれません。

矢津田社長、最近はこのシステムの進化形も考えているそうです。「置き薬」ならぬ「置き弁当」サービスです。独特のパッケージ技術で、保存料を使用せずに、賞味期限4日を実現しました。オフィスにお弁当を置かせてもらい、食べた分だけ支払ってもらいます。昔ながらの、富山の薬売り商法です。うまい仕組みだと思いました。

食事で「なりたい自分になろう」プロジェクトを提案

冷凍庫を実質無料レンタル、導入した会社の社員さんからも大変喜ばれている

矢津田社長に、これからの夢をお聞きしました。

「今まではB to Bで、会社・職場を対象に社食を提供してきましたが、これからはB to Cで顔の見えるお客様に、食事で『なりたい自分になろう』プロジェクトを提案していきたいと思っています。

筋量を増やしたい、ストレスに強くなりたい、ダイエットしたい、美肌になりたい……いろいろな願いがあります。まず手始めに、お客様個々の食事内容をデータ化して、なりたい自分になれるようなメニューが提案できないか、と大学と一緒にシステムを検討中です」

日々の食事内容などのビッグデータの解析は、兄弟会社AIVICKがお手の物。まさに矢津田社長の究極の夢、IT企業と食ビジネスのシナジー効果が現実のものとなろうとしている、そんな期待を抱かせるお話でした。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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