新日鉄は過去最高の2805名の株主集めた株主総会で経営統合が承認、10月に新日鉄住金誕生へ

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新日鉄は過去最高の2805名の株主集めた株主総会で経営統合が承認、10月に新日鉄住金誕生へ

国内高炉最大手の新日本製鉄は6月26日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで株主総会を開催した。同社としては過去最高となる2805人の出席株主を集め、住友金属工業との合併などの承認を受けた。

10時から始まった総会では、住友金属との合併関連を中心に、訴訟関連、役員人事、経営環境まで幅広く質問が出された。4つの事前質問に続き、会場からの11人の株主が質問し、2時間33分にわたり、これに答えた後、すべての会社提案の9つの議案すべてを可決した。

主な質問と回答は以下の通り。

--合併により株主にどんなプラス効果があるのか?

経営統合によって、まずコストが下がる。統合効果の1500億円は遅くとも3年以内に実現したい。また、規模の拡大による数量メリットが出る。それから技術の統合により新しい製品やプロセスの進化も図れるので、こうしたことを株主に還元していきたい。

--発行可能株式総数が99億株から200億株に増えるが、公募増資などの計画はあるのか?

住友金属の株主に30億株強を発行する必要があるので、いまの枠をほぼ使い切ることになる。いまは新株を発行する計画はないが、今後、新興国でのプロジェクトに投資をすることがあった場合、成長資金として株を増やす可能性はある。他の上場会社の使っていない枠は6割程度が平均的。当社はそういうことを勘案し、少々少ないが5割とした。

--住友金属は投資効率の悪い関連会社を抱えており、合併で新日鉄の財務内容の悪化につながるのでは?

合併は優良な経営資源を統合するもの。裏を返せば優良でない資産はお互いに統合前に処分することにしている。そういうなかで、優良資産を統合会社に持ちこみブラッシュアップしていく。また、連結会社についても、同じような業界なので、似ている事業は当然経営効率を上げるべく統合再編をする。あるいはグループ外に出すなど、いろいろな施策をしていく。

3月末時点の議決権を有する株主数は36万7706人、議決権個数は625万5144個。これに対し、郵送やインターネットによる議決権の行使を含めた総会参加株主数は12万3203人、議決権個数は474万6782個。実際に会場に足を運んだ株主数も過去最高となる2805人を数えた。

合併関連議案を含む9つの会社提案議案は、目立った反対もないなか、次々可決され、総会は終了。同時刻に大阪で開催された住友金属の株主総会でも統合が承認されたことで、予定どおり今年10月に新日鉄住金が誕生することになる。

(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)

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