がん発症を疑う所見なし、県民不安解消に努力 福島県の小児甲状腺検査キーマンに聞く

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3割超で嚢胞・結節 何を意味するのか

--3月末までの甲状腺検査結果(表)では35・1%の子どもから水分を含んだ袋状の嚢胞(ポリープ)が見つかっています。結節(充実性の隆起)が認められた子どもは1・0%(うち5・1ミリメートル以上の結節を持つ子どもの割合は0・48%)に上ります。この数字を見て、不安を感じる親が少なくありません。

鈴木 (嚢胞を持つ子どもの割合が35%、結節で1%という)数字はかなり小さいものまできちんと拾い上げた結果だ。最近の超音波検査機器は性能がよいため、わずか1ミリメートルの結節や嚢胞も読み取ることができる。また、大人の甲状腺検査では「所見なし」とされる可能性のある2~3ミリメートルのものも、今回の検査ではしっかりとカルテに記録している。

甲状腺治療の専門家の会議で報告した際も、とても多いとか驚いたといった声は聞こえてこなかった。私自身も想定の範囲内ととらえている。ただ、原発事故の直後から多数の子どもを対象に甲状腺を検査した事例は世界的にもないので、今後しっかりと経過を見ていく必要がある。

約36万人を対象に2年半で先行検査を終了させ、その後20歳になるまでは2年ごと、20歳以降は5年ごとに検査を実施していく。3月末までに検査にかかわった医師や技師は県立医大および県外の大学、県内従事者などを合わせ、延べ500人以上に上る。

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