最先端技術を続々導入、森精機が追求する究極の生産効率

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たとえば、機械に取り付ける工具にICチップを内蔵し、摩耗具合や仕様履歴をコンピューター上で管理。指定された条件に合わない工具は、取り付ける前の段階で、コンピューターによって検知される仕組みをとっている(タイトル横の写真)。

これらの取り組みによって、ひとりの作業員が取り組む作業を明確化し、24時間体制の同工場を、わずか17人で管理するという。

工作機械は精度の高い機種が外為法(外国為替及び外国貿易法)の輸出管理品目に指定されており、高性能機の生産は国内工場に限られる。長引く円高が収益を圧迫する中、国内工場の体制見直しによる効率改善は喫緊の課題だ。

森精機製作所では新工場建設と並行して、複合加工機の生産を千葉事業所から伊賀事業所へ移管。千葉事業所は、小型機の専門工場へと転換する方針だ。ライン生産方式とセル生産方式を機種に応じて使い分けるなどし、生産効率改善を目指す。競合であるオークマも目下、本社工場の再構築を計画中だ。牧野フライス製作所は周辺装置を製造する新工場を稼働、さらに主軸専用工場の建設を進めている。

各社とも売上高がリーマンショック前の水準に近づきつつある一方、外需比率の上昇と円高が逆風となり、利益面の回復は道半ばだ。業績押し上げ効果の大きい高性能機の生産を担い、新技術を生み出す国内拠点の能力をいかに高めるか。森精機製作所の場合も、一連の改革の成否が、今後の浮沈を決めるカギのひとつとなるだろう。

(小河 真与 =東洋経済オンライン)

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