孫正義はラーメン屋を経営しても成功するか 日本株のプロに学ぶ「上がる株の選び方」

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ただ、残念ながら、個人投資家の場合、経営者と話ができる機会はほとんどない。

「それでも、たとえば消費者向けのサービスや製品を出している企業であれば、実際にサービスを利用したり、製品を使ってみたりする。そうすれば、消費者にとって魅力的な製品・サービスであるかどうかが見えてくる。また、好業績が単なる運かどうかについては、たとえば最近だとマイナンバー関連のように、特需で利益が伸びている企業は、要注意だ。特需による好業績は、経営者の手腕によるものではないからだ」。

「現場力」がある経営者に投資せよ

もうひとつ、個人投資家でも経営者の力量を見極められるポイントについて、藤野氏は次のように指摘する。

「あくまでイメージではあるが、私は企業に投資をする際、その経営者が、『もし街でラーメン屋を経営したら成功するだろうか』、という視点を常に持つようにしている」。

どういうことだろうか。「たとえばソフトバンクグループの孫正義社長や日産自動車のカルロス・ゴーンCEOは、いまや世界有数の企業のトップだが、彼らなら、街のラーメン屋を経営しても成功すると、確信できる」。

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なぜなら、「企業はお客様に製品やサービスを提供し、喜んでもらい、その対価としてお金をいただく。そこから取引先への支払いを済ませ、従業員に給料を支払い、利益を残すわけだが、彼らは、こうした一連のビジネスサイクルをパーフェクトに理解しており、現場力があるからどんなに小さなことでもおろそかにしない。だから、街のラーメン屋の経営だって、軌道に乗せられるはずだ」。

どうだろう。今、あなたが投資したいと思っている企業の社長は、街のラーメン屋を経営しても十分な成功を収められるだろうか。

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鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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