山手線新車両で「広告の一等地」はどうなる? アナタが知らない、車内広告市場の最前線

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他路線では窓上の空きスペースも少なくない

最近では南武線にもトレインチャンネルを装備した車両が導入され、一括販売の対象に含まれた。が、業界内では「南武線に動画CMを出したい広告主は少ないのでないか」との声も聞かれる。

こうした事情もあってか、最近ではトレインチャンネルへの出稿を見合わせる広告主も出ているという。

紙の広告では、窓上に貼られている広告の人気が著しく低下している。山手線はともかく、JR他路線や私鉄では窓上の広告スペースが空いたままの車両もザラにある。

ニーズがあるという理由で存続が決まった中吊り広告も、実は需要が低下傾向をたどっている。大口クライアントの出版業界が出版不況による経費削減で広告出稿を控えているという事情もある。だがそれ以上に、車内での乗客の行動が変わったことも見逃せない。

スマートフォンを見る乗客が増えて、車内広告に目を向けなくなったのである。スマホを見ていると、乗客の目線は下向きになる。広告の位置が頭の上にある中吊りや窓上には、目が行きにくいのだ。

スマホが変えた車内広告の順位

車内広告の"一等地"となった「ドア横新B」(撮影:風間仁一郎)

このようにして紙広告の需要が落ち込む中で、多くの広告主がどうしても広告を出したいと躍起になっている場所がある。それは、乗降ドアの横にある「ドア横新B」と呼ばれるスペース。広告主の間で「王様」と呼ばれている。

この場所は、中吊りや窓上広告と違い、ちょうど乗客の目線と同じ高さにある。スマホをいじっている乗客も下車するときは前を見る。中吊り広告の需要低下と反比例する形で、4〜5年前から引き合いが急増。スマホ利用者も必ず目にする、という点が人気の理由だ。

日本鉄道広告協会などがまとめたJR交通広告認知度調査によれば、広告到達率は49.8%。中吊りの18.7%、トレインチャンネルの37.6%と比べても、高い効果を示している。ほかのスペースと異なり、フレームに入った形で掲示されることも、認知度の高さにつながっているようだ。

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