米経済の問題は、増税では解決しない 肝心なのは政府支出削減だ--コロンビア大学ビジネススクール校長 グレン・ハバード

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──対外的な経済政策において、ロムニーは「中国を為替操作国に認定すべきだ」と主張している。

ロムニーの中国通貨についての発言ばかりが注目を集めているが、彼の主張の核心は知的財産権に関するものにある。中国では知的財産権の尊重が欠如しており、そのために国内の起業意欲と外国企業からの投資が損なわれている。

エコノミストとして、私は人民元の問題が最重要課題だとは考えていない。やがて中国は段階を踏んで、通貨問題を解消していくだろう。

--共和党は、ベン・バーナンキFRB(米国連邦準備制度理事会)議長の金融政策が緩和的すぎると批判している。ロムニー自身も、当選すればバーナンキを再任しないと語っている。

FRBの金融緩和が行き過ぎかどうかについては、さまざまな見解がある。個人的には、FRBは自らが打ち出した対策のインフレリスクを十分認識していないと見ている。

ただし、私は今の政府よりもバーナンキ議長のほうを高く評価している。国民は非常に優れた仕事をしてきたバーナンキ議長に深く感謝すべきだと思う。

ロムニーは確かに、自分が大統領になればバーナンキ議長を交代させると言った。それはロムニーが、FRBを、金融規制に首を突っ込みすぎて政治化した組織ではなく、長期的な物価安定と財政の安定に焦点を絞って取り組む機関にしたい、と考えているからだ。

Robert Glenn Hubbard
1983年米ハーバード大学で博士号を取得。2001年2月から03年3月まで、ブッシュ大統領の下で米国大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長。04年より現職。現在、ロムニー大統領候補の経済政策アドバイザーを務める。

(聞き手:リチャード・カッツ(在ニューヨーク) =週刊東洋経済2012年6月23日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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