韓国・ネクソンが買収意欲、窮地の台湾ゲーム会社

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昨年、ネクソンが日本で株式を上場した際に同社の崔承祐(チェスンウ)社長は、ネクソンは韓国で安定した地位を築いており、ほかの国への拡張時期に入った、と表明した。これは、これまで韓国企業を中心に買収を行ってきたが、今後は海外企業の買収にも目を向けるということだ。

台湾ゲーム産業振興会の元会長で、ゲーム会社・楽陞科技会長の許金龍氏は、遊戯橘子の劉会長の長年の友人である。許会長は今回の件で行政院公平交易委員会(公正取引委員会)に告発を行った人物である。

許会長は興奮ぎみにこう語る。「ネクソンは株式の3分の1を取得しながら、規定に基づいた申告を行政官庁に行っておらず、公平交易法(公正取引法)に違反している。もし遊戯橘子が韓国企業に買収されれば、ほかの台湾ゲーム会社も次々と買収される可能性がある」。

業界が心配するのは、もしこの買収が成立すれば、台湾のゲーム市場が韓国文化の侵入を受けることだ。ネクソンの開発力を考えれば台湾メーカーの生存が難しくなる。そうなれば低価格の韓国製ゲームが無制限にどんどん入ってくるのでは、と恐れている。

もっとも今回の件で遊戯橘子の言葉を額面どおりには受け取れないという見方もある。というのは、これまでネクソンの持ち株比率が上昇していることに気づくはずであり、今年34%に達してから態度表明すべきものではないからだ。そのため「両社はいったんは買収交渉のテーブルに着いたものの、最終的に決裂したのではないか」との見方もある。

(台湾『今周刊』No.804/撰文、林宏文、翁書テイ記者 =週刊東洋経済2012年6月23日号)

◆ネクソンの業績予想、会社概要はこちら

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記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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