韓国・ネクソンが買収意欲、窮地の台湾ゲーム会社

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遊戯橘子の売上高は約180億円。台湾での市場シェアは35%を超える。香港でもトップだ。ネクソンが買収に成功すれば、台湾に住む300万人のユーザーを手にできる。

ネクソンの圧倒的な存在感

今回の事態が遊戯橘子にとって厄介なのは、同社にとってネクソンが最有力のゲームのサプライヤーであることだ。

ネクソンは世界中で人気を集めている「クレイジーレーシング・カートライダー」「メイプルストーリー」などのゲームを持つ。そのうち「クレイジーレーシング・カートライダー」は世界の会員数が2億7000万人を超える。台湾ではこの二つのビッグタイトルは遊戯橘子を通じて販売されているのだ。

機関投資家によると、この二つのゲームは遊戯橘子に毎月2億円以上の売り上げをもたらしている。遊戯橘子の年度報告(2010年度)によれば、同社の外部からのゲーム調達のうち59%をネクソンが占めている。

黄弁護士は、「台湾企業が戦略的パートナーを受け入れる場合には、追加投資の持ち株比率はどこまでが限度かなど、提携のルールと内容をはっきりさせる必要がある」と話す。そうした点を明確にしておかないと、実際に過去あったように、パートナー企業に軒先を貸したつもりでいつのまにか母屋を取られてしまうことになりかねないという。

ネクソンはこれまでゲーム開発会社を買収して大きくなってきた。先述のビッグタイトルのゲームも、もともと別の韓国企業が開発していたものを、買収することで手に入れた。10年だけでも、ネクソンは韓国のゲーム開発会社3社を買収している。

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