日本最古の本格インド料理店がスゴかった ナイスな店主のトークで味わう極上カレー

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できたてのおいしさを味わってもらうため、ルーは毎日作っている

夜も注文できるのであれば、料理の名前を変えたほうがいいのでは!?と、つい思ってしまいそうだが、実はここにG.M.ナイルさんの経営哲学が込められている。

「私が店を続けるなかで、とても大切にしていることが“初志貫徹”。『ナイルレストラン』が付き合っている業者は、先代の頃からずっと関係があるところばかりです。肉屋さんも酒屋さんも、クリーニング屋さんもそう。付き合いが長く信頼関係があれば、うちの店に品質のよくないものを入れられないでしょ。よい材料・よいお客さん・よい店。この三位一体こそが『ナイルレストラン』の特徴ですね」

『ナイルレストラン』のビールはサッポロ、日本酒は白鶴。これらは決めたことだから、初志貫徹で守り続ける。だからこの店がこの店としてあり続けるのだと言う。

変わりゆく銀座で『ナイルレストラン』は変わらない

2代目店主のG.M.ナイルさん

子供の頃から店を訪れていたG.M.ナイルさん。銀座の街が変わっていく様子を、肌で感じながら育った、まさに銀座の生き字引といった存在だ。

「僕が子どもだった頃は、昭和通りの真ん中に畑がありましたね。今の光景からは想像できないですよね。あと、勝鬨橋付近から月島に渡るための船が出ていたのを覚えていますね。切符は片道5円くらいだったはずです(笑)」

『ナイルレストラン』は、元祖インド料理の店であり、人気店ではあるものの、店舗数を増やしていない。「ムルギーランチ」が食べたければここに出向くしかないのだ。

「他店舗経営もやりたくないんです。店を広げたら、私の目が行き届かなくなってしまいますから。お客さんにきちんとしたものを提供できないのであれば、2店舗目を開く必要はありません。自信のない料理を出すなんてできませんから」

何十年という歴史の中、店のオーナーが代替わりしてもぶれない経営哲学。『ナイルレストラン』の料理からは、道を切り開いてきた先人たちの「揺るぎない強い意思」も味わえるだろう。

(取材・文:questroom inc.、井上晶夫/撮影:柴田ひろあき)

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『20's type』編集部

『20's type』は、キャリアデザインセンターが運営するWebマガジン。2018年4月より『営業type』からサイト名をリニューアル。新時代を生きる20代若手ビジネスパーソンの「働く力」を育むために役立つ情報を発信している。

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