体育会系USENでママ社員が活躍し始めた 新社長「ワークスタイル」変革の本気度

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「新入社員は営業からスタートするのですが、やはり営業の仕事はハードで、昇進をモチベーションに走り続けられる男性に比べ、女性は、昇進したいと思っているのに体力的な問題があるのは事実。女性社員たちのモチベーションをキープするには、ゴールの見えない状況ではなく、次のステージに行ける目安を設けたほうがいい。今後は入社後一定程度の成果を出せば、企画職に移ることができるといった制度の導入も考えている」(田村社長)

若手の女性やママ社員への対応策の一環として、現在社内で「女性活躍推進ミーティング」と称し、女性の働き方に関する検討を行っている。メンバーは若手の女性営業2人と、前出の熊本さんを含むママ社員3人の計5人。検討されている内容は、ママ社員たちに向けた制度と、3年目くらいの若手女性に立ちはだかる“壁”にどのように対応していくか、という2点だ。

新しい女性営業チームがスタート

田村公正社長は1971年生まれ。1994年入社。2013年10月より現職

この2点に関し、全社アンケートなどを行いつつ、5名の女性社員を中心に制度設計に向けた話し合いが行われている。この話し合いの中で「USEN Work Style」で小学校入学前までに延長可能となった時短勤務も、今後中学入学まで延長可能へと議論が進んでおり、会社はこれらの結果を検討の上、12月以降順次制度化していく方向だ。

こうした動きに先駆け、10月に大阪で新しく女性営業チームがスタートした。「女性のパフォーマンスがもっとも発揮できる、サロンなどの美容関連の店舗に対し、女性チームで提案活動をしてみようと試み。女性ならではのきめ細やかな柔軟な姿勢が顧客対応のなかで生かされることを期待している」(田村社長)

男女問わず、時短で働こうがフル勤務で働こうが、それぞれが自分の持つパフォーマンスを生かし、自己実現を実感できる会社へ――。USENの改革は着実に動き出している。

須賀 華子 フリーライター

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すが はなこ

津田塾大学卒業後、編集プロダクションに勤務し、母子保健分野の編集を行う。退職後北京大学社会学部へ留学。社会医療・福祉を学ぶかたわら、日本語学習本の執筆、翻訳に従事。帰国後、主婦向けウェブメディアの編集を経て、女性の生活・生き方、育児などをテーマに取材をしている。

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