山内:「それはお父さん、ずるいよ」で終わってしまって、「僕も知らないよ」になると思います。子どもにやらせるためにはやっぱり親もやるしかない。自分がやった上で「お前も、これやってみたらどうだ?」と言うしか、中学・高校ぐらいのお子さんに何かしてもらう方法はないだろうなと思います。
ただ、これが簡単な話ではないということもよくわかっています。残業でヘトヘトになっている人も多い。自分の時間もなかなか取れないような状況で、酷なことを言っているなと自分でも思います。でも「親ができることは何ですか?」と聞かれてしまうと、そう答えざるをえません。
加藤:山内さんにとってもツラい質問ということですね。
教育現場にも変革が求められる中、親は何をすべき?
山内:察していただいて恐縮です(笑)。逆に言うと、親が子どものために時間を割くことが難しいからこそ、本来は公教育でやるべきなんです。親がどんな状況にあろうと、高度な教育が受けられる機会保障が必要です。
しかし、今は時代の端境期のため、すぐにそういった環境が実現される見込みはありません。そういった中で親に何ができるかとなると、やっぱり自分が学んで背中を見せながら日本の公教育に足りない部分を子どもに提案し、納得してもらった上で自覚的に学んでもらうしか方法がないと思います。
加藤:親にとってはハードな取り組みですが、いちばん本質的なことですね。
急激に高度情報化が進んだ結果、教育現場にも変革が求められる。ハード面の充実だけでも時間がかかるが、学習指導要領や各教育団体のシステム的な改革、そして何よりそれを使いこなして生徒の前に立つ教員の育成にも時間とお金がかかる。
21世紀型スキルを教えることが社会的に求められるが、小学・中学・高校と上に行けば行くほど、正答を求める授業スタイルが行なわれていて、現状のままだとそのスキルは学校外において自身で身につけるしかない点を山内氏は指摘した。
終盤で親のあり方についても触れたが、親は子どもの教育にどのように関わるべきなのかを次回詳しく迫りたい。
加藤エルテス 聡志
RISU Japan共同創業者
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かとうえるてす さとし / Satoshi Erdos Kato
東京大学卒業。コンサルティングファーム(McKinsey & Company)・米系製薬会社等を経て、2014年にRISU Japan (risu-japan.com)を創業。 著書「日本製造業の戦略」(ダイヤモンド社・共著)、編集協力に「日本の未来について話そう」(小学館)、「Reimagining Japan」 (Biz Media LLC) など 講演 TEDxTokyo Salon 教育の未来とデータサイエンス、など
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