東海原発で事故が起きたら日本は滅ぶ、原発に頼らない地域づくり目指す--「脱原発」宣言をした村上達也・東海村長に聞く

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 原発での仕事は残るので、直ちに仕事を失う、ということはない。問題は定期検査需要で、雇用面でそれに依存していた面はある。あるいは、東海村で事業をされている多くの方は、原発に依存してきたところもあるだろう。すぐに職が失われるといったことはないが、将来的にどうやって新しい分野を開いていくかは課題だ。

--脱原発宣言に対する村民の反応は。

私に対しては極めて好意的な話しか出てこない。だけれど、冷や冷やしている人や、心配の方もいるだろう。そういう中で東海村では今、若い実業家が中心となって新しい東海村を考えていこう、というビジョンの会を作り、将来を考え始めている。
 
 これは私が仕掛けたわけでも何でもなく、彼らが自主的に勉強会を始めた。村長が脱原発と行っているから始まったのではなく、彼ら自身が原発の将来というものを見越して、それに依存することはもうできないんだ、と考えたのだと思います。
 
 きっかけはやはり福島第一原発事故でしょう。あれが起きたことで、これは変わらざるをえない、と。

--原発をやめたとしても、使用済み燃料の処理の問題があります。

私は村外へ持っていけとは言わん。何で青森に持っていくんだよ、と思う。自分のところで原発を受け入れておカネをもらってきたのだから、私はその自治体が受け入れるべきだと思う。
 
 当初は青森の再処理工場で核燃料サイクルをやるという前提だったのだろうけど、今となっては核燃料サイクルもやめる決意が必要だろう。東海村でも乾式貯蔵はやっている。スペースが足りないという話もあるが、原発を廃炉にするならばスペースはいくらでもできる。まさに中間貯蔵ということだ。

■なし崩し的な再稼働は国民の不信感を招く

--大飯原発再稼働に際しては政府のやり方に不満の声も出ています。今回の件にかかわらず、政府は原発政策についてどのようにあるべきでしょうか。

原発政策を明確することが重要だ。当面はどういう原発を廃炉、あるいは残すかを明確にすべき。今のようにひとつひとつストレステストの一次評価をやって、さらに政治判断で稼働を決めるというばかげたやり方ではなく、少なくともこういう原発は残せる、こういう原発は長期的には廃炉にするという基準を明確に示すべきだろう。

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