文化的景観 金田章裕著

文化的景観 金田章裕著

文化的景観とは歴史を通じて形づくられた人々の生活と生業(なりわい)を物語るもので、家屋など建造物や田畑、樹木、河川などの風景の総体である。重要文化的景観は現在、30あり(なぜか東日本には7しかない)、特に四万十川や五島列島は宝庫として知られる。巻末に写真と文でそれぞれが紹介されていて理解を助ける。

本文の中心を成すのは恵那の棚田、京北の北山杉、奥飛鳥、琵琶湖西岸、宇治、金沢などでの景観保存の状況や問題点の指摘で、豊富な地図や写真と併せ歴史的背景の下での現状がよくわかる。院生時に訪れた頃の思い出や地域の歴史にかかわる逸話も加わりエッセー風の味わいもある。世界文化遺産となった相倉(五箇山)の合掌造り集落のように景観保存には多くの困難が伴うが、地域の構造変化の下での文化的景観の保持という国民的課題へ向け示唆するところは大きい。ケンブリッジとコッツウォルズの1章が加わり彼我の対比も楽しめる。(純)

日本経済新聞出版社 2415円

  

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