【産業天気図・化学】原料ナフサ高だが、需要面には明るさ。来期は薬価引き下げが響く

化学産業は、原料ナフサ高騰がさらに収益圧迫要因となっている。一方で、電機向けが北京五輪需要もあり7月から復調、自動車向けも順調と、需要環境面では明るさが見える。そのため、07年度後半(07年10月~08年3月)の天気は「曇り」予想を継続だが従来に比べ多少晴れ間も見えてきた状況だろう。続く08年度前半(08年4月~9月)は、電機向けが好調持続でも、医薬併営の大手化学企業には隔年の薬価引き下げが減益要因となる。そのため、やはり「曇り」予想を継続する。
 石油化学分野の比重が比較的高い大手の「総合化学」メーカーは、原料ナフサ熱分解による石油化学の最上流製品エチレンの生産を手掛けており、ナフサ価格の高騰が原価高に直結する。1キロリットル当たりの国産ナフサ価格は03年10~12月時点の2万4000円から06年7~9月時点の5万4100円へ上昇、06年10~12月での騰勢一服をはさみ再度上昇、各社では07年4~6月は5万8000円近辺、07年7~9月は6万2000円近辺と見込んでいる。
 国内首位の三菱ケミカルホールディングス<4188>は、国産ナフサ価格が06年3月期実績4万2400円、07年3月期実績は5万円に対し、今08年3月期の期初想定は5万5000円。この想定を上回るナフサ高は減益要因となるが、07年10月1日付で子会社三菱ウェルファーマに吸収する旧・田辺製薬分の上乗せもあり、想定線の営業増益が見込まれる。ただ、住友化学<4005>はナフサ高に加え情報電子化学に販価下落と減価償却増のため、三井化学<4183>ではポリエチレンとポリエステルの値上げ遅れもありそれぞれ営業減益が予想される。
 その一方、石油化学分野の比重が相対的に大きくなく、電機向けの復調を享受できる企業も多い。信越化学工業<4063>は収益柱の直径300ミリの半導体ウエハが好調。ラサ工業<4022>も半導体ウエハ再生が続伸。日産化学工業<4021>は半導体用反射防止コーティング材「ARC」が伸長。三菱ガス化学<4182>は半導体関連でビスマレイド・トリアジン(BT)系材料が復調。住友ベークライト<4203>も期初想定よりは在庫調整が長引いたが6月から半導体封止用が復調。旭化成<3407>は電子材料が順調。日本化学工業<4092>は化合物半導体向け赤燐が順調、といった具合。例外は、日産向け自動車部品の減退が響いて期初利益計画未達の公算が強い日立化成工業<4217>くらいだ。
 なお、少々異色なところでは、宇部興産<4208>が好調だ。同社はナイロン原料カプロラクタムを生産しているが、同社の生産方式だとどうしても化学反応の結果、本来の生成物であるカプロラクタムの4倍もの量の硫安(硫化アンモニウム)が副成されてしまう。ところが、今やその副成硫安が、肥料として引っ張りだこになっているという。米国が普及の旗振り役であるバイオエタノールの原料トウモロコシの栽培用に、世界中で硫安肥料の需要急増、市況高騰が発生しているためだ。宇部興産では日本・スペイン・タイでカプロラクタムを生産しているが、農業国であるスペインとタイでは副成硫安が現地で「完売」状態。これが、『会社四季報』秋号で宇部興産の利益予想数字を増額した一因である。
【石井 洋平記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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