公的資金の返済は進展大 欧州でアセットの買収も--チャーティスCEO ピーター・ハンコック

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--最近、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)取引で、米大手銀行JPモルガン・チェースの巨額損失問題が浮上しました。

JPモルガンの件はコメントを差し控えたい。ただ私のAIG入社後の最初の大きな仕事は企業のリスクをできるだけ減らすことだった。現在、CDS取引の95%は解約し、想定元本が2兆ドル以上だったデリバティブ取引を1600億ドルまで減少させた。こうした金融取引は将来大きな試練となる危険を抱えている。AIGグループにとっては、今後も競争力のある分野に、選択と集中を進めていくことが重要だろう。

──欧州危機への認識は。

ユーロ経済では多くの国が混迷状況に置かれ、とても困難な環境にある。ギリシャは極端な例だが、周辺諸国も大きな試練に直面している。これから大胆な構造改革が必要だ。これは政治的意志さえあれば、徐々に解決できるだろう。
 その中で、いくつかの銀行はレバレッジ(ハイリスクな取引)を減らす必要もある。成長を促す試みも必要だ。政策決定者がこうした意思決定を行うだろうと考えるが、スピードは市場が望むものよりも遅いかもしれない。一方で、需要低迷による成長の鈍化という問題は、つねに付きまとう。

海外拠点網を生かし日本企業の進出手助け

──チャーティスにとっては、欧州でM&Aの好機になるのでは。

買収の機会は市場にいくつかあるようだが、それが当社の経営にプラスになる要素は見いだしていない。ただ、これから魅力的な資産が欧州の銀行から売りに出されるのでは、と見ている。今後バーゼル�(新たな自己資本規制)の要件が適用されると、銀行はいくつかの種類のアセットを持つことでペナルティが科せられる。CMBS(商業用不動産ローン担保証券)などのストラクチャード・アセットが当社にとって魅力的な存在になるかもしれない。

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