(第51回)中国金融業の動向は日本に大影響を及ぼす

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銀行の株式時価総額の世界ランキングを見ると、中国工商銀行、中国建設銀行が1、2位を占める。中国銀行、中国農業銀行もトップ10に入る。それに対して、日本の銀行はいまやトップ10には入らない。中国のGDPは日本とほぼ同じであることを考えると、大型商業銀行の巨大さは異様と言ってもよい。

ただし、現在の体制には問題が多い。最大の問題は、国の直接的支配下にあるため、効率化が進まないことだ。大型商業銀行の株主構成を見ると、国の比重が高い。たとえば、建設銀行の場合、不良債権処理で資本注入を受けたこともあり、国有持ち分は8割程度だ。工商銀行の場合もそれに近いと考えられる。

外資系金融機関の進出意欲は強い

このように、中国の銀行システムは、不良債権問題からは脱却したものの、社会主義経済のなごりをとどめており、非効率な側面がある。また、不動産貸付、地方政府貸付などで、いまでも問題を抱えている。さらに、後に見るように、政府の強い規制の下にあり、これをどう自由化していくかは、中国の経済発展にも、日本をはじめとする関係国にも極めて重要なポイントだ。

なお、中国の銀行セクターには、このほかに、株式制商業銀行、都市商業銀行、農村商業銀行などがある。また、中国特有のものとしては、金融持ち株会社がある。このカテゴリーの中には、ノンバンク金融機関が設立したものもあるし、ハイアールのような事業集団が設立したものもある。

欧米金融機関の中国進出の歴史は長い。19世紀半ばから進出が始まっており、HSBC(香港上海銀行)は、1965年に香港と上海で設立された。

革命によって、中国での外資系銀行の活動は一部の例外を除いて途絶えたが、改革開放後は、81年に5経済特区で外資系銀行の進出が解禁された。当初は外資系銀行の業務は外貨業務であり、顧客は外資系企業と外国人に限定されていたが、外資の導入に重要な役割を果たした。

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