大飯原発再稼働に必死の関西電力、原発頼みの“倹約”経営は限界

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あるアナリストは「コストの安い原発を軸にアウトソースを多く活用するのが関電の事業モデル。平時であれば効率的だが、原発がすべて止まり、他社からの融通も難しい中、この二つへの依存が裏目に出て、供給不足が露呈した」と指摘する。

原発依存度の高さは経営問題にも直結する。12年3月期は原発稼働率の減少に伴う火力の稼働増によって代替燃料費用が拡大。他社からの購入電力料も膨らみ、2423億円と過去最大の最終赤字を計上した。

今期はさらに厳しい。同社の試算では原油価格が前期と同水準などの前提だと、原発利用率が1%変わるだけで、営業利益は94億円も上下する。「今期原発がまったく再稼働しないと費用がさらに4000億円増える」(八木社長)見込みだ。大飯2基が再稼働したとしても、今期の原発利用率は17%程度と前期から20%も低下するため、最終赤字拡大は避けられないだろう。

今後も原発の再稼働いかんが同社の命運を左右する。現在、大飯2基以外にも5基のストレステスト1次評価結果を提出済みだが、行く先には不透明さが付きまとう。政府は今後の原発再稼働については、新設の「原子力規制委員会」の下、新基準に基づき判断する方針を示しているものの、新設時期や新基準の採用時期は未定だ。

稼ぎ頭が不良資産にも

今夏決まる新エネルギー計画の行方も焦点となる。現在出されている4案のうち、総発電量における原発比率を、原発の運転期間を原則40年とし、原発の新増設のないケースである15%とする案が有力とされる。

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