「楽園企業」のコピー機は10枚で自動停止? セコすぎるお約束を徹底する理由とは?

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コピー機は1台きり。そこまでする理由とは?(撮影:和田 英士)
「社員が日本一幸せ」ともいわれる未来工業(岐阜県にある電気・設備資材メーカー)。同社は「残業なしの毎日5時退社」で有名だが、年間休日数が140日&有休最長40日と「休みの多さも日本一」と言われる。しかも驚くほどの高年収で、5年に1度の海外への豪華社員旅行もあるなど、「楽園企業」と呼ばれている。
同社創業者の山田昭男氏は昨夏、惜しまれながら他界したが、遺作となった『山田昭男の仕事も人生も面白くなる働き方バイブル』はいまも注目を集めている。
実は、「楽園企業」をつくり上げた山田氏は、「日本一のドケチ社長」としてもメディアに多数出演する有名人だった。本社玄関は真っ暗が基本で、社員約330名が働く本社にコピー機は1台しかない。警備員室はあるが警備員ゼロで毎月30万円節約と、コントみたいなケチケチぶりだ。
山田氏を長年取材してきたルポライターが、同社のうらやましい就業環境とは裏腹な「笑えるほどのドケチっぷり」に迫る。

社員約330名の本社にコピー機は1台きり

日本一“社員”が幸せな会社をつくった男の集大成! 「未来工業と山田昭男のすべてがわかる」と話題の1冊。

「ほら、誰も使っとらんやろ? いっそのこと、このコピー機を半分に切ってしまいたいよ」

あるときテレビ局が「日本一のドケチ社長」を取材に来たところ、本社に1台きりのコピー機を前にして、生前の山田昭男氏はそう言ったという。

岐阜県の電気・資材設備メーカー「未来工業」は、社員約330名にもかかわらず、本社にコピー機はたった1台しかない。しかも、コピーを使用するにあたっては、数々の「厳しいお約束事」が課されている。「ムダなコピーを防ぐためだ」というのがその理由だが、節約に熱心な企業でも、未来工業ほどコピーにうるさい会社は聞いたことがない。

「上場企業で業績もいいのに、そこまでコピーをケチる理由は何ですか?」と筆者が以前尋ねたところ、彼からこんな答えが返ってきた。

「だって、コピー機は『会社のムダの象徴』やと思わんか? 」

「日本一のドケチ社長」と呼ばれた男の目には「コピー機=会社のムダの象徴」と映るらしい。その言葉の真相を探る前に、まずは筆者が目撃した、同社の「無用コピー対策」ベスト3から紹介しよう。

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