人を動かす「伝え方」には、3つの鉄則があった 話が伝わらないのは、100%自分が悪い

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ポジティブな場合は、具体的に相手に何らかのメリットがあるはずです。逆にネガティブな場合は、何らかのデメリットがあるはずです。そのどちらでもない場合ももちろんありますので、まずは冷静に見極めましょう。

ポイント2:伝える場面を具体的にイメージする

伝えることがうまいビジネスパーソンは、ポイント1で的確に相手を捉えた上で、伝えるシーン、相手の反応などの具体的なイメージを作り込みます。話の切り出し方、相手の反応、それに対する自分の対応、そして話を終える時のシーンまで、具体的に想像するのです。

ここで重要なのは、相手の感情に配慮することです。人間には感情があります。伝える内容には、相手にとって本来受け入れ難いようなものから、喜びを感じるようなものまで、さまざまなものが考えられます。

相手がネガティブな感情を抱く可能性がある内容を伝える場合は、最初から納得してもらうところを目指すのではなく、まずはその感情を和らげること、さらに言うとネガティブな情報を周囲に言いふらさないことがゴールになるかもしれません。

また、ロジックをしっかりと作っておくことも重要です。人が納得して行動するのは、その内容が理にかなっているからです。最も伝えたいことは何かにフォーカスし、メインのメッセージを絞り、それを支える根拠を明確にすることを意識するとよいでしょう。

ポイント3:途中で諦めない

ポイント1で相手を理解し、ポイント2で具体的なイメージを持ったからといって、それですべてがうまくいくかと言えば、そんなことはありません。いくら伝えるのがうまい人でも、どんな場合も1回のコミュニケーションで100%伝えきり、相手に行動してもらうというところまで行ける人は、まずいないでしょう。

相手の反応を見ながら、いったん話をやめて後日改めて場を設定したり、自分の上司からも話してもらったりと、手を替え品を替え、粘り強くコミュニケーションするのです。ビジネスをスムーズに進めていくビジネスパーソンは、このように、繰り返し粘り強く伝えるという特性を持っています。

しかし、実はこれ、「言うは易し、行うは難し」の典型例かもしれません。そもそもなぜ粘り強くコミュニケーションができるかといえば、おそらく、コミュニケーションしようとしている内容が重要だという確信を持っているからです。何が何でも成功させたいという強い想いが、粘り強いコミュニケーションを生むのです。

以上、伝える力を高めるということについてみてきましたが、最も重要なことは「コミュニケーションは受け手が決める。伝わらないのはすべて自分のせい」というマインドセットを持つことです。

耳の痛い話かもしれませんが、しっかりと自分自身に矢印を向け、何が課題なのか、考える癖をつけていきましょう。

村尾 佳子 グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長

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むらお けいこ / Keiko Murai

大手旅行会社、総合人材サービス会社を経て、現在、グロービス経営大学院経営研究科副研究科長。事業戦略、マーケティング戦略立案全般、そして大阪校、名古屋校のマネジメントに携わるかたわら、マーケティングや「志」領域の教鞭を執る。また社外取締役や理事として関与しながら、ベンチャー企業やNPOの育成にも携わる。
関西学院大学社会学部卒業、大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。グロービス・オリジナル・MBAプログラム(GDBA)修了。共著に『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』(東洋経済新報社)、『志を育てる』(東洋経済新報社)、『東北発10人の新リーダー』(河北新報出版センター)。

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