【産業天気図・空運業】国際線好調も国内線が軟調。08年度前半は機材更新やリストラ効果で晴れ間

航空業界の07年度後半は好調な国際線と苦戦が続く国内線が綱引きとなり「曇り」。08年度前半は総じて状況改善が期待できて「晴れ」に転じそうだ。
 日本航空(JAL)<9205>、全日本空輸(ANA)<9202>の大手2社の国際旅客は、旺盛なビジネス需要を背景に期初予想を上回るペースで推移。両社ともリゾート線の縮小などリストラを進める一方、ビジネス路線を強化したことが奏功して平均旅客単価が向上している。9月末に羽田−上海(虹橋)線が約2カ月前倒しで就航することも後押しする。羽田発着の特定時間帯での国際旅客チャーター便の就航もあり、近距離線中心に拡大基調が期待できそうだ。
 ただ、国内線は苦戦が続く。旅客数が軟調なことに加えて、複数社が競合する路線における競争激化もある。航空業界では、7−9月期の繁忙期に収益の大半を稼ぎ出す構造だが、06年4月末にスカイマーク<9204>が参入したドル箱路線の羽田−札幌線で値引き合戦が加速、収益を圧迫している。それでもスカイマークは回復が著しい。前期は整備不良や代理店販売の休止で赤字に落ち込んだが、今期は顧客も戻り黒字回復が濃厚だ。JALとANAも「全体的にみるとスカイマークに利用者が流れている」と話す。
 一方、各社とも高止まりしている燃油費が懸念材料だが、ANAの会社予想営業益(08年3月期)790億円はやや保守的で、『会社四季報』秋号では880億円とみている。経営再建中のJALの会社予想営業益350億円の達成に向けては、500億円の人件費削減が計画通りに達成できるかにかかる。退職給付費用圧縮(10%カット)には組合側の抵抗が強く、予断を許さない状況だ。『四季報』では営業益320億円とみている。
 08年度前半は上場3社とも増益を期待できそうだ。ANAは新中型旅客機「B787」を来年5月から順次導入予定で、燃費改善効果が期待できる。JALは国内線に8000円上乗せのファーストクラスを導入した効果で40億円増収を見込む。今期のリストラを乗り切れば、非常事態に備えて資本増強にも本格着手する方針だ。JALカードの一部売却も検討。燃費の悪い大型機の機材更新も加速する見通しだ。スカイマークは羽田−旭川線への参入に伴い、不採算の羽田−神戸線を縮小に踏み切ることが濃厚で、利益改善が見込める。国際線は北京オリンピックなどビッグイベントを控えており追い風。極端な燃料高や世界的な政情不安が起こらなければ、「晴れ」に転じそうだ。
【冨岡 耕記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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