《それゆけ!カナモリさん》渋谷ヒカリエ「CLINIQUE」のリストバンド施策はアリか?ナシか?

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《それゆけ!カナモリさん》渋谷ヒカリエ「CLINIQUE」のリストバンド施策はアリか?ナシか?

4月26日、東京・渋谷駅前の旧東急文化会館跡地に地上34階地下4階の複合大型ビル「渋谷ヒカリエ」がオープンした。同月18日には同じく渋谷区の表参道エリアに「東急プラザ 表参道原宿」もオープン。界隈は大いに賑わっている。

既に都内には多数の複合ビルが存在し、差異化の一つの源泉となるテナント構成には、両者とも特色を出すべく相当な配慮をしているように見える。また既に数多く出店のあるテナントについては、独自のサービスメニューを用意するよう促している様子が伺える。

今回は、その一つで、筆者が気になったサービスについて考えてみたい。

■「急いで買いたい」「一人でゆっくり見たい」「相談したい」をバンドの色で意思表示

 5月22日付日本経済新聞朝刊に「私への接客、色がサイン(旬すぽっと)」として渋谷ヒカリエで化粧品ブランドの「CLINIQUE(クリニーク)」が初導入した「スマイル ブレスレット」について紹介している。「どのように接客して欲しいか?」を示す3色のリストバンドを入店前に選択することで、来店客は自身の意思を無言で販売員に伝えられるという。

店に入る時に自由に選べるこの腕輪、実は黙ってメッセージを店員に伝えている。白は「早く買い物を済ませたい」。ピンクは「自分で自由に試して楽しんでいます」という意味だ。

ちなみに黄緑は「時間があるので接客してください」。記事は、「来店する人が腕輪をする率は約半分という。そのうちピンクは6割を占める」ことを紹介したうえで、「売り場が『時間があるので接客してください』という黄緑色に染まっていくか。ブランドの力が試される」と、少し挑戦的な感じで締め括られている。

5年ほど前、百貨店の高島屋が岐阜店と東京・立川店に「見ているだけなので、声をかけないでください」という首下げ式の意思表示のカードとして「S.E.E.カード(シーカード)」と呼ぶサービスを導入し、話題になったことがある(導入当時の筆者による体験記はこちら)。S.E.E.は英語の「Silent(静かな)」、「Easy(ゆったりとした)」、「Each(それぞれ)」の頭文字と、「静かにしてね」を擬音で伝える「シーッ」の掛け言葉である。

 CLINIQUEのスマイル ブレスレットは、目立つものを首からぶら下げずに済む分、なんとなくスマートになってはいるけれど、本質まぁ同じだ。

先述の日経新聞記事には「百貨店で扱うような高級ブランドは接客販売が当たり前だったが『気軽に入って商品を手にとってほしい』と雰囲気づくりを優先した。日本では『百貨店の売り場は店員の説明が煩わしく、商品を勧められるから困ると感じる若い人が増えている』(化粧品大手)」と背景説明がされているが、筆者などは、「そこは本来、顧客の態度で販売員が読み取るべきことでは?」とか思ってしまわないでもない。

 

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