サーティワンアイス、40年ぶり赤字のピンチ 異業種ライバルのコンビニに客を食われる

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アイスクリームの市場規模自体は、順調に伸びている。一般社団法人日本アイスクリーム協会によると、アイスクリーム類および氷菓販売金額は2014年度に4369億円で、3年連続で拡大した。同協会資料で、最もさかのぼれる2005年度の市場規模と比べると、2割以上の伸びを示している。

ただし、アイスクリームチェーンには、かつて異業種だったコンビニという存在が立ちはだかり始めた。大手3社が加入する一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会によると、コンビニの店舗数は、9月末時点で5万3108店あり、サーティワンアイスなどのアイス専業店よりも規模は格段に大きい。これまでコンビニのアイス販売とアイス専業店の販売とは食い合わなかったが、「近年コンビニもアイス販売に力を入れており、競合になった」(前出担当者)と見られている。

アイスクリームのメーカー別シェアは、「爽(そう)」や「モナ王」を販売するロッテ、「ジャイアントコーン」や「パピコ」を販売する江崎グリコなどが、上位を占めている。これらの商品がコンビニを経由して売れていることが、サーティワンアイスのシェアを奪っているようだ。

驚異の「セブンプレミアム」

コンビニ自身もアイスの商品開発に力を入れ始めた。8月末時点で1万8092店舗ある最大手「セブン-イレブン」の運営会社セブン-イレブン・ジャパンでは、PB(プライベート)商品「ワッフルコーン」シリーズ(税込み183円)が売れ筋へと成長。セブン&アイ・ホールディングスが手掛ける、PBの総称「セブンプレミアム」シリーズは、すでにアイテム数が3000を超えている。2016年2月末には「セブンプレミアム」全体で、年商1兆円に到達する勢いだ。

アイスメーカーとのコラボ開発も進めている。「ハーゲンダッツ」シリーズのハーゲンダッツ ジャパンと「ジャポネ <抹茶アズキ>」、赤城乳業の「ガリガリ君」と「スイーツなガリガリ君 ミルクたっぷりとろりんシュー味」などを発売したことを皮切りに、続々と新商品を投入している。

「4~5年前から、アイスは年間を通じて買われるようになってきており、それに合わせて新しい商品の開発を進めている」(セブン&アイ・ホールディングス広報部)。こうしたアイス市場の潜在力に目覚めたコンビニの攻勢が、サーティワンアイスの足場をジリジリと崩している。

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