【産業天気図・自動車】サブプライム問題、為替動揺で減速だが、長期的なファンダメンタルズの強さに影響なし

長らく国内不振を海外好調が軽くカバーし、増益を続けてきた自動車業界だが、米国のサブプライム(信用力の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した金融市場と為替の動揺、米国実体経済への懸念などで風向きが変わりつつある。そのため、足元07年度後半の天気見通しは前回の「晴れ」から「曇り」に変更する。ただし、日本車メーカーの競争力の高さ、日本車が得意とする世界的な省燃費車の人気、BRICsを中心に新興国市場でのモータリゼーションの本格化など、ファンダメンタルズの強さはいぜんとして不変。焦点は、為替の動向、米国景気という短期的な側面に集中している。
 現在のところ、日本車メーカーの収益柱である北米市場は大幅な減速には至っていない。通年でも前年比微減程度となりそう。その中でガソリン高を背景に省燃費の日本車人気はいぜん強く、シェア向上により市場全体ほどには販売減につながらないだろう。今年4~8月累計の北米販売台数では、トヨタ自動車<7203>が前年同期比2・7%増、ホンダ<7267>が同1%増、日産自動車<7201>が同4・3%増、マツダ<7261>が同2・9%増、三菱自動車<7211>が同15・6%増、富士重工業<7270>が同9%減、スズキ<7269>が同0・4%増。ヒット車不在により中期的に業績低迷が続く富士重工業を除いてすべてがプラスを維持している。
 なかでも、好調な業績が期待できるのはトヨタ、ホンダ、スズキ、マツダだろう。トヨタは北米のみならず中国やアジア、欧州でも好調。ホンダも今期、世界戦略車の「フィット」「アコード」のフルモデルチェンジを控える。また、米国の比重が小さく、インドや欧州の比重が大きいスズキはそのインド、欧州が絶好調。今年1~7月で海外生産が前年同期比23%増となっている。08年に大ヒット車「スイフト」のプラットフォームを活用した新小型車「スプラッシュ」の投入も予定するなど新車攻勢も続く。マツダは今夏、新型「デミオ」を発表しセールスが好調なうえ、今秋「アテンザ」もフルモデルチェンジする。新型アテンザは欧州での好セールス持続、ボディタイプを大型化した北米での拡大が期待されるところだ。
 むろん、短期的には為替が落ち着かないと業績に与える影響が懸念される。ただし、仮に従来より円高の方向で為替が安定化したとしても、1ドル=110円程度であれば、各社の業績に与えるインパクトは一時的、限定的に終わるものと思われる。
【野村 明弘記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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