フランスで「小1の壁」に悩む母親はいない やはり、働く女性にとって参考になる国だ

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1クラスは20人程度なので、担任の目が行き届く。下校時には、担任が校舎の出入り口で迎えにきた保護者に子どもを引き渡す。毎日のように顔を合わせるので、保護者は心配ごとがあればすぐに相談できる。少人数教育のためか、頻繁な長期休暇のためか、フランスの学校は不登校の生徒が少なかった。アフリカ系、アラブ系、東洋系など、さまざまな背景を持った生徒がいるので「皆と同じようにしなくては」という同調圧力が少ないせいもあるだろう。周囲を気にせず、自分らしく振舞え、気楽な面もある。

一方で、小学校では落第もあれば飛び級もある。勉強についていけなければ進級できず、再び同じ学年で学ぶ。優秀な生徒は1学年飛ばして進級する。自分に合ったレベルで学ぶことは、どの子どもにとってもいいことだろう。親も落第について、日本の親ほどの抵抗はない。勉強がわからないまま進級して、ますますわからなくなるより、同じ学年の勉強をやり直して進級する方が、わが子のためになるという考えなのだ。同級生も落第した生徒を偏見の目で眺めることはない。

教師は雑務少なく教えることに専念できる

職場として考えた場合も、フランスの小学校は働く母親に優しい。休み時間、教師は教室に鍵をかけ、生徒を外へ出す。寒い季節でも、生徒は校庭で遊ばなくてはならない。したがって真冬は、帽子に手袋、分厚いコートを身につけさせ、ブーツをはかせて、子どもを登校させなくてはならなかった。雨天の場合は、生徒はホールのような場所で過ごす。休み時間中、教師とは別の監視員が見守るので、教師は休憩できる。

午前11時30分から午後1時30分の昼休みには、生徒は専任のスタッフがいるカフェテリアで給食をとり、監視員の監督の下、校庭などで遊ぶ。教師は教師専用の食事室で昼食をとってもよいし、学校の外に出て昼食をとっても構わない。2時間ゆっくり休憩することができる。校内の掃除は専任のスタッフが担当するので、教師が掃除をさぼる生徒を注意したり、掃除の監督をしたりする必要もない。

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