フランスで「小1の壁」に悩む母親はいない やはり、働く女性にとって参考になる国だ

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フランスの学校では、万聖節(諸聖人の日)とクリスマスの休み、冬休み、春休みと、約6週間通学するごとに2週間の長期休暇がある。7~9月まで2カ月の夏休みもある。いくら有給休暇の多いフランス人でも、すべての学校休暇に合わせて、仕事を休むわけにはいかない。強い味方がこのサントル・ド・ロワジールなのだ。祖父母も、働く親世代にとって頼りになる存在だ。長期休暇中は祖父母の自宅や別荘に出かけ、一緒にバカンスを過ごす子どももいた。祖父母と孫が関係を深めるよい機会になっている。

フランスの小学校では、そもそも学校行事が少ないのだが、保護者会は平日の午後6時ごろから開かれた。校内を自由に見学できる学校開放の日と、学年末のお祭りは土曜日だった。

公立の授業料は無料、少ない不登校

フランスの小学校は、家計にも優しい。公立の場合は、授業料は無料。給食代は所得に応じて支払う。また、年に数回、コオペラティヴという任意の援助金を学校に支払う。金額はいくらでもいいし、払わなくても構わない。この援助金は、生徒の課外授業費などに使われるということだった。課外授業では、映画を見に行ったり、観劇をしたり、美術館へ出かけたりした。豊かな文化のある国だけに、学校の外で学ぶこともたくさんある。

教科書は1年間無償で貸与される。代々の生徒が使うため、ビニールのカバーをかけて使う。何冊もある教科書に一つひとつ、カバーをかけるのはひと仕事だった。連絡帳や各教科で使うノートが学校で支給されたのには、驚いた。親は筆入れと鉛筆など最低限の学用品を用意すればよい。学校指定の上履きや体操着、体育館シューズもない。

日本では何万円もするランドセルを用意するが、フランスの子どもが背負うカルターブルという横長のかばんは安価だ。ナイロン製のカルターブルが数千円で購入できた。上等なカルターブルを子どもに持たせて、競い合うような雰囲気も皆無だ。

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