中高年のキャリアチェンジは「負け組」なのか 「過去の成功体験」を忘れる必要はない!

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会社によっては再就職支援などもありますが、すべてをお膳立てしてくれるわけではありません。そして、再就職先がなかなか決まらず「会社の支援なんかちっとも役に立たない」と不満を訴えてくる方々には、いくつかの共通点が。それは「担当者に丸投げ」「元の職種に強くこだわる」「新しいことはイヤ」「今の収入を減らしたくない」などです。

もちろん、さまざまな事情から譲れない条件があることは仕方ありません。ただ、特に職探しの「入り口」では、できるだけ柔軟性を持って進んでいただきたいと思うのです。

一つの例として、介護職について考えてみましょう。高齢化に伴いますます重要度が上がっている仕事で、比較的求人が多い職種でもあります。多くの方が思い浮かべるのは「高齢者の食事や排せつの世話」かもしれませんが、その断片的な印象で「自分にはとてもできない」と排除してしまうのは、もったいないことです。

変わることを楽しみながら「わき道」を進もう!

どんな仕事でも同じですが、一つの職種の中には多岐にわたる業務が存在し、そこには必ず、やってみなければ分からない面白さがあります。さらに、介護職キャリアの入り口は「身体介助」でも、その先にはあらゆる可能性も広がっていきます。

たとえば高齢者用の住宅リフォームをするとき、介護関連のレンタル用品の営業をするとき、さらには介護施設の経営や指導する立場に立つときなど、現場を知っていることが強みになる場面は、たくさんあるのです。

このように、本人の意識によって、知識の吸収力やその後の展開は大きく広がります。実際、当初の業務に就き続けるよりも、経済的にずっと豊かになったり、仕事に対するやりがいを見出したりする方々もたくさん目にしてきました。

キャリアチェンジは、いくつになっても決して「負け組」ではありません。歩いていた道が突然通行止めになっても、わき道を行けば、先には想像もしなかった素晴らしい風景が広がっているかもしれません。立ち止まっているだけでは、何も変わらないのです。

あなたの意識によって「勝ち組」に変わることも十分に可能なのです。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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