プーチン氏の娘が莫大な資産を築いていた 台頭するロシア新エリート層

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ロイターが金融機関のアナリストたちから入手した試算によると、キリル氏とカテリーナ氏が夫妻として保有する株式は、約20億ドル(約2460億円)相当に上る。それは主に、キリル氏がプーチン氏の長年の友人で商品トレーダーのゲンナジー・ティムチェンコ氏から取得した石油化学大手企業の株で占められている。

2人はまた、フランスにも別荘を所有。その価値は約370万ドルとみられている。この別荘もティムチェンコ氏から得たものだ。

カテリーナ氏は学術界でも活躍しており、モスクワ大学で公的援助を受けたプロジェクトを取り仕切っている。ロイターが公表されている文書を調べた結果、カテリーナ氏は国有企業などから数百万ドル相当の資金援助を受ける契約を結んでいる。こうした仕事から、同氏が個人的利益を得ていることを示す証拠は認められない。

カテリーナ氏はモスクワ大学で上級職に就いており、費用17億ドルのキャンパス拡張計画の監督にも関わっている。大学での同氏の公式アドバイザーには、KGB(旧ソ連国家保安委員会)時代の同僚2人を含むプーチン氏の側近5人が名を連ねる。

長女のマリア氏は?

プーチン氏の長女マリア氏(30)もモスクワ大学とつながりがある。公表されている情報によれば、マリア氏は同大学で基礎医学を学び、内分泌学分野でのキャリアを積んでいる。

カテリーナ氏、マリア氏、そしてキリル・シャマロフ氏はコメントを差し控えた。かつて同氏が所有していたフランスの別荘のことを尋ねると、ティムチェンコ氏の広報担当者は、個人的な問題についてコメントしないと語った。

株式取得や国有企業との取引、フランスの不動産や新興財閥とのつながり──。こうしたことは、メディアから遠ざけられてきたプーチン氏の子供たちの生活を垣間見せてくれる。交流関係もまた、ロシアで最も影響力を持つプーチン氏の家族と、同氏を取り巻くエリート層の財力を知る上で手掛かりとなる。

カテリーナ氏とキリル氏は、親の太い人脈のおかげで急速に台頭するロシア新世代の代表格と言える。このような現象は、中国共産党幹部の子弟たち、「太子党」と類似する。

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