コンセンサス政治はもともとありえない 『日本政治の崩壊』を書いた北岡伸一氏に聞く

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──憲法改正論議も本気ではない?

最近、憲法改正について新聞紙上で対談した。しかし、あれではまったく実現しそうにない。先進国で憲法改正はしばしば行われるが、大体が表決すれすれで議会を通過して、よい内容ならばその後に定着するのがパターンだ。もともとコンセンサスで改正などできるものではない。

ギリシャに「飛び矢は飛ばず」という詭弁がある。的に向かって矢を射るとする。その矢は的に行く前に当然その中間点を通る。その中間点に行く前に、そことの中間点も通るだろう。そしてまた、その間の中間点も通ることになる。この解釈を繰り返せば、いつまで経っても矢は飛ばない、ということになる。現在の憲法改正議論はその詭弁のような感じがした。

──憲法改正に限らず、「そうはいっても今は難しい」は、政治家の常套句ではありませんか。

最近もっとよく使われるフレーズに「私もそう思っているけれど、国民の支持がなかなか得られない」がある。これは国際社会では恥ずかしくて言えない代物だ。なぜなら国民の支持がなくても、よいと考えたことをリードして進めていくのが政治家の役割のはずだからだ。

ネックになっている参議院の再決議要件を変えられない。衆院議席数のゼロ増5減も決められない。それで何が決められるというのか。政治の衰退によって、日本自体が弱ってきて、気がつくと立ち上がれない状況になってしまうのではないか。

 

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