「12.9インチiPad」はペン入力が秀逸だった アップルの新製品を最速レビュー

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狙いどおりにiPadはクラウド時代に使いやすい、カジュアルにネットを使いこなしたい層に受け入れられ、ネットブックは市場から駆逐された。そのうえ、パソコンは裾野を形成していたユーザーからの支持を失い、より高性能、高機能が求められる領域へと展開せざるをえなくなった(もっともパソコンの位置付けに与えた影響はスマートフォンの方が大きいだろう)。

加えて、これまでパソコンが入り込めなかった、あるいは入り込みにくかった領域に、iPadは易々と入り込んでいった。ユーザー層が広がったことで、クラウドの持つパワーが、それまで非IT系だった人たちにまで広がり、アイデアの幅が出てきたためだ。

業務の現場やパソコンが通常は使われないような場所に入って行けたのは、iPadのコンセプトが正しかったことを証明している。

では、なぜiPadは伸び悩んでいるのだろうか。iPadが築き上げた新市場は成長こそ速かったものの、その潜在力は思ったより低かったのだろうか。それとも、まだ開拓できる余地があるのだろうか。

iPad Proは、後者……すなわち、まだ未開拓の領域が多いことを示すために作った、アップルによる挑戦と言える。

iPad Proとはどのような製品か

週刊東洋経済と並べてみると、サイズ感がよくわかる

iPad Proのハードウェアは一言で言えば、高性能で画面の大きいiPadである。

ほかのiPadシリーズと同じ基本ソフトが動作し、機能面でもほぼ等価と言っていい。iPad Proの大画面を生かした機能として、画面を2分割して同時に表示しながら使えるWindows 8の”スナップ”とそっくりの追加機能があるが、これは最新世代のiPad Air、iPad miniでも利用できる。

搭載されたA9Xの詳細なスペックは明かされていないが、iPad Air2に対してCPUが1.8倍、GPU(グラフィックプロセッサ)が2倍の性能を持ち、過去1年間に発売されたモバイルコンピュータの8割よりも高速とアナウンスされている。

実際、アップルの製品で言えばIntel Core Mプロセッサを搭載するMacBookよりも、かなり快適に使うことができ、応答性などで言えばMacBook Airなどのパソコンを使っているのと体感的な差はあまりない。

それどころか、高速化したGPUをふんだんに活用したアップル純正アプリ(たとえば動画編集アプリのiMovieなど)のパフォーマンスは、Macを使っているよりも上と感じることすらある。iPad ProとiMovieの組み合わせでは、4K映像をふたつ組み合わせてレイアウトしながら、別の4K映像へとトランジションするといった映像効果を、その場で遅延なく見せるといったこともこなす。

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