60代「団塊」の財布は、この3つでこじ開けろ! 「普段は1円も使いたくない」けど、弱点がある

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団塊消費の3つめの「急所」は、「夫婦」です。

3.夫婦歩み寄り消費――「妻のために何かしたい」という、甦るデート気分

団塊世代は現役時代、「企業戦士」として仕事に明け暮れた世代です。よって、家事や育児は、妻任せ。それによって「夫婦すれ違い」現象が起こっています。

以前、実施した調査では、「生まれ変わっても、いまの配偶者と一緒になりたいか」という問いに対し、男性は5割が「いまの妻とまた一緒になりたい」と答え、「一緒になりたくない」が13.7%だったのに対し、女性は「一緒になりたくない」が男性の約2倍の27.6%という衝撃的な結果が出ました。熟年離婚が大きな話題になったのも、こうした背景があります。

しかし、現在まだら模様で修復が進んでおり、「定年後にしたい習い事は?」という質問に対し、団塊男性の第1位は「料理教室」でした。趣味と実益を兼ね、多少の後ろめたさからくる「妻への感謝の気持ち」が見え隠れしています。

また、団塊世代はビジネスクラスで海外出張に出かけ、接待ゴルフにいそしんだ世代です。団塊男性は、「どうせなら、妻もビジネスクラスで海外に連れて行ってやろう」「ゴルフを教えてやろう」などと、「最初の恋愛婚主流世代」としてデートを思い出し、妻をエスコートしようとします。そこをうまく突けば、「夫婦エスコート消費」が期待できます。

たとえば、今後、夫が妻をエスコートする形でのガーデニングや料理、ワイン、あるいは美術鑑賞や映画鑑賞、オペラ、クラシック、クルーズ、ビジネスクラスでの海外旅行、プレミアムな旅館に泊まる国内旅行などが流行する可能性があります。

そんな「理想の夫婦像」の追求と実践こそ、団塊世代が求める大人消費の形でしょう。子育ても仕事も終えた夫婦が、もう一度向き合い、互いに感謝の気持ちをもつことができれば、夫も「濡れ落ち葉」にならずにすむはずです。

団塊世代は「きんときもち(金時持ち)」

新しい時代をつねに切り開いてきた団塊の世代が、いよいよおカネも時間もある「きんときもち(金時持ち)」となりました。

これから老いへ向かうどころか、彼らは「いつまでも若々しくいたい」と願い、「人生これから」と張り切っています。

ただし、団塊世代の「大きな財布」をねらうだけでは、「どうせオレたちのカネが目当てなんだろう」と、かたくなになるばかりです。60代におカネを使ってもらうには、彼ら彼女らの心に響く「理由」付けが必要です。

その世代の「特徴」や「歴史」を知れば、思わぬ「急所」も見えてきます。そして、余計な人間関係のいざこざや誤解、あるいはビジネスの失敗も少なくなるはず。

「まずは『相手』を知るところから始める」――。そのために「世代論」を身につけ、ぜひビジネス&人間関係を豊かにする「武器」を磨いてください。

阪本 節郎 新しい大人文化研究所 統括プロデューサー

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さかもと せつお / Sakamoto Setsuo

1952年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、博報堂に入社。プロモーション企画実務を経て、プロモーション数量管理モデル・対流通プログラム等の研究開発に従事。その後、商品開発および統合的な広告プロモーション展開実務に携わり、企業のソーシャルマーケティングの開発を理論と実践の両面から推進。2000年エルダービジネス推進室開設を推進し、2011年春、発展的に「新しい大人文化研究所」を設立。所長を経て現在、統括プロデューサー。

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